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J1 4時間前

セレッソ大阪、中島元彦の心にあり続ける「ハナサカクラブ」の存在。大人になってわかる、恩返ししなければいけない理由【コラム】

セレッソ大阪の中島元彦
セレッソ大阪の中島元彦【写真:Getty Images】



 4月18日、27歳の誕生日を迎えたセレッソ大阪の背番号「13」中島元彦。同日の京都サンガF.C.戦の後半アディショナルタイムには、バースデーゴールを奪うチャンスがやってくるが、叶わず。試合後には、このプレーの裏話と後悔を語っていた。かつてのセレッソ大阪に憧れてプロを目指したアタッカーは、次世代の子供たちの憧れになろうとしている。(取材・文:藤江直人)[1/2ページ]

明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンド第11節
セレッソ大阪 1-0 京都サンガF.C.
YANMER HANASAKA STADIUM

「誕生日にゴールを決めたかったけど…」

セレッソ大阪の中島元彦
18日に27歳の誕生日を迎えた中島元彦【写真:Getty Images】

 映像を見返すたびに、セレッソ大阪の中島元彦の脳裏には同じ言葉が浮かんできた。

 京都サンガF.C.から今シーズン最多の3ゴールをゲット。ガンバ大阪との前節に続くクリーンシートで連勝した、18日のJ1百年構想リーグ地域リーグラウンドWESTグループ第11節の試合後にこう切り出した。

「連勝できたところは、自分たちにとってはすごくよかったと思っているんですけど…」



 この日が27回目の誕生日だった中島は、自らにベクトルを向けるようにこう続けた。

「マジで誕生日にゴールを決めたかったけど、体が限界やった。ただ、いまは後悔しています」

 複雑な思いを漏らしたのは、ゴールへの予感を色濃く漂わせた場面が巡ってきたからだ。

 7分台が表示された後半アディショナルタイムの92分。前後半ともに1ゴールずつを奪い、勝利を確実なものにしていたセレッソが迎えたビッグチャンスに、1万8835人が駆けつけたスタンドが沸き返った。

シュートを選ばなかった中島元彦「ホンマに体が限界で…」

セレッソ大阪の中島元彦
シュートを選択しなかった中島元彦【写真:Getty Images】

 敵陣の右サイドでボランチの石渡ネルソン、さらに中央で1トップの櫻川ソロモンがワンタッチでテンポよくパスをつなぎ、大きなスペースが生まれていた右サイドへボールが通った直後だった。

 オフサイドにならない形で飛び出し、阿吽の呼吸で反応したのは中島。京都のペナルティエリア(PA)右角からボックス内へ一気に侵入していった先で相手GK太田岳志の姿をはっきりと視界にとらえた。

 右タッチライン際に釣り出されていた京都のCBエンリケ・トレヴィザンも、櫻川の背後からプレッシャーをかけようとしていたもう一人のCB鈴木義宜の帰陣も間に合わない。

 しかし、3点目を奪う絶好のチャンスは、中島がシュートを選択しなかった瞬間に一気に萎んだ。



 真横へ送ったパスは相手ゴール前にいた上門知樹にも、エリア内へ侵入してきた櫻川にも合わずに逆サイドへ抜けていく。

 その場に突っ伏した中島は「ホンマに体が限界で…」と恐縮しながらこう続けた。

「自分としても、もっと我を出していきたかった。ただ、あの場面では足がもう限界だ、という思いが頭のなかにありすぎて。試合後に映像も見ましたけど、何回見ても後悔しかなかったです」

 両足がつりかけていた中島は、直後に香川真司との交代を告げられる。

 試合は香川が相手ゴール前の真ん中で獲得した直接FKの流れから、櫻川が3点目を決めてそのまま終了した。

いつにも増してゴールを欲しがったわけ

セレッソ大阪の中島元彦
ゴールを欲しがっていた中島元彦【写真:Getty Images】

 百年構想リーグで10試合に出場するも無得点の中島は、自らに言い聞かせるようにこう語っている。

「今日はみんながしっかり守って点も取って勝てたので、最高の誕生日プレゼントを贈ってくれました。

 ただ、そろそろ自分も結果を出さないとやばいので、次からはもうちょっと欲を出してもいいかな、と」

 中島がゴールをほしがった理由は、京都戦と誕生日が重なっただけではなかった。

 試合会場だったホームの長居球技場は、新たなネーミングライツ契約のもとで、今月1日に名称がそれまでの「ヨドコウ桜スタジアム」から「YANMER HANASAKA STADIUM」に変わっていた。

 略して「ハナサカ」となる新名称のホームで迎えた初陣。中島は「セレッソに縁があってよかった、という感じですね」とチーム、そして個人的にも大事なアニバーサリーに手にした勝利に思いを巡らせた。



「小さなころはハナサカクラブに支えてもらっていた自分が、いまはハナサカクラブに還元する立場になっている。いまは小さな子どもたちが、十数年後にここで同じ言葉を語っているかもしれないですね」

 中島が言及した「ハナサカクラブ」とは、セレッソの全育成組織のサポートを目的として2007年に設立された、個人や法人、団体などから募った協賛金をすべて費用補助にあてる1口3000円の基金を指す。

 セレッソ大阪の未来に美しい花をたくさん咲かせたい、という合言葉が「ハナサカ」となった。

 この基金のもとで、2025年度はU-17がイングランド、U-13選抜がスペインへの遠征をそれぞれ実施した。

 さらに栄養やSNS対策、交通安全など多角的な講習会や英会話レッスンなどを通して人間力も磨いていく。

 こうした活動がなぜ成り立っているのかが、小学生のときはピンとこなかったと中島は明かす。

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