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J1 5時間前

西川潤がファジアーノ岡山での第一歩を踏み出した。「自分が成長するための時間」を経て掴んだ5分間。「怪我はもう大丈夫」【コラム】

ファジアーノ岡山、西川潤
ファジアーノ岡山の西川潤【写真:Getty Images】



 歓声に包まれて踏み出したファジアーノ岡山での第一歩。西川潤の出場はわずか5分。それでも決定機に絡んだ動きと判断は際立っていた。決め切れなかった悔しさを抱えつつ、確かな手応えとともに次へつながるスタートを切っている。(取材・文:藤江直人)[1/2ページ]

明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンド第11節
ガンバ大阪 2-2(PK5:3) ファジアーノ岡山
パナソニックスタジアム吹田

「特に意味はないんですけど」


今季、セレッソ大阪からの完全移籍を決断した西川潤【写真:Getty Images】

 Jリーガーたちは背番号にさまざまな思いを込めながらピッチ上でプレーしている。

 愛着深い背番号を貫き通す選手もいれば、心機一転、移籍先で新たな背番号を選ぶ選手もいる。

 今シーズンにセレッソ大阪からファジアーノ岡山へ、完全移籍で加入したFW西川潤は後者だった。

「ゾロ目がよかったので、ゾロ目のなかで空いている背番号にしました」

 こんな思いを明かした西川は、ゾロ目では他に「11番」と「44番」が空いていたなかで「66番」を選んだ。

 同時に「特に意味はないんですけど」ともつけ加えたが、果たしてそうだったのだろうか。



 一般的にゾロ目は縁起のいい番号とされる。昨シーズンはJ2のサガン鳥栖で出場35試合、6ゴールの数字を残し、さらに右肩上がりの軌跡を描かせたいと念じた西川がゾロ目を選んだとすれば合点がいく。

 神奈川県の強豪・桐光学園高校からセレッソに加入したのが2020シーズン。高校在学中からスペインの名門バルセロナに注視されていた、とされるホープはプロの世界でなかなか結果を残せなかった。

 3年目の2022シーズンには当時J1の鳥栖へ、5年目の2024シーズンにはJ2のいわきFCへ、そして昨シーズンは再び鳥栖へ期限付き移籍。理想として思い描くプレーを必死に追い求めてきた。

 迎えた昨シーズンのオフ。セレッソで残した数字が公式戦出場38試合、わずか1ゴールのまま西川は古巣に別れを告げて、完全移籍でのオファーを出してくれた新天地・岡山の一員になった。

 セレッソのファン・サポーターへ向けて、公式ホームページ上で「必要としてくれるクラブがあることに感謝し、ピッチで結果を出します」と決意を綴った西川は、一方でこんな思いも明かしている。

「覚悟をもってこのチームに来ました」

ファジアーノ岡山、西川潤
ファジアーノ岡山でのデビュー戦となった西川潤【写真:Getty Images】

「自分が思い描いていたキャリアとの間にギャップを感じ、悔しい思いを重ねる時期もありました」

 J1の公式戦に挑むのは3シーズンぶり。鳥栖時代を含めたリーグ戦の出場試合数が「66」で途切れていた西川は、岡山で抱く強い思いを背番号「66」に込めるように1月の新体制発表会でこう語った。

「完全移籍で覚悟をもってこのチームに来ました」

 補強の目玉という期待を背負い、岡山のファン・サポーターの前で挨拶してから3カ月あまり。新たな背番号と自身のプレーを披露する舞台が19日に、敵地パナソニックスタジアム吹田でようやく訪れた。



 ガンバ大阪と対峙した明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンドWEST第11節。2-2で迎えた85分に、加入後で初めてベンチ入りを果たしていた西川は、最後の5人目の交代選手としてピッチに立った。

 直前には3バックの右を務める大森博が、右足をつって右タッチライン際で治療を受けている。

 それでも大森にプレーを続行させ、ボランチの小倉幸成に代えて西川を投入した理由を木山隆之監督はこう語る。

「やはり前線の選手を入れないと…」

ファジアーノ岡山
後半、同点に追いついたファジアーノ岡山【写真:Getty Images】

「大森には『残り時間を根性で頑張れ』と。あそこで大森に代えて別のディフェンダーを入れるよりも、やはり前線の選手を入れないと勝てない。勝ちたかったし、勝つために決断しました」

 ガンバ戦前のキックオフ時点で岡山は3連敗中だった。しかもヴィッセル神戸との前々節で1-4、京都サンガF.C.との前節では1-5とともに大敗。悪い流れをどうしても断ち切りたかった。

 そして同点のまま突入した後半アディショナルタイムが、表示された8分台を超えて99分に入った直後。岡山に関わる誰もが勝ち越しゴールと、4試合ぶりの勝利を確信するビッグチャンスが訪れた。



 自陣のゴール前で、ガンバの安部柊斗が食野亮太郎へ通そうとした縦パスを、3バックの真ん中を務める田上大地が判断よく前へ飛び出してインターセプト。さらに前方のウェリック・ポポへパスを送る。

 72分にも左サイドを疾走し、江坂任の同点ゴールをアシストしていたポポがすかさず真ん中のレーンをドリブルで突進してカウンターを発動させる。田上も左サイドを全力でフォローしていった。

 乾坤一擲のラストアタック。自陣の中央から、あうんの呼吸で連動した西川もこう振り返る。

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