
清水エスパルスの大畑凜生【写真:Getty Images】
今季、大卒1年目のルーキーイヤーで自身初スタメンを勝ち取った大畑凜生(りんせい)。だが、そんな同選手は、右手首に包帯を巻きながら名古屋グランパス戦の振り返りを試合後に語った。「ポリバレントの体現者」をキャッチフレーズに置く新卒MFは、不慣れなWBで何を感じていたのか。(取材・文:藤江直人)[1/2ページ]
明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンド第12節
清水エスパルス 0-2 名古屋グランパス
IAIスタジアム日本平
プロ初先発で悔しさを味わった大畑凜生

清水エスパルス戦でゴールを決めた木村勇大【写真:Getty Images】
右手首に包帯を巻いた痛々しい姿で、清水エスパルスの大畑凜生(おおはた
りんせい)は試合後の取材エリアに姿を現した。
「(試合中に)踏まれました。でも大丈夫です」
大畑が問題なしを強調したアクシデントは、ホームのIAIスタジアム日本平に名古屋グランパスを迎えた、25日のJ1百年構想リーグ地域リーグラウンドWESTグループ第12節の38分に起こった。
右タッチライン際に張り出した名古屋の右センターバック(CB)原輝綺が縦へ素早いパスを送る。
しかし、ターゲットだった右ウイングバック(WB)浅野雄也へのホットラインはすぐに遮断された。
判断よく、なおかつ余裕をもって右足でパスをカットしたのは、左WBで先発していた大畑だった。
しかし、反転して攻撃に転じようとした直後に足を滑らせ、バランスを崩してしまう。
次の瞬間、体勢を立て直そうとピッチ上に突いた大畑の右手を、猛然とボールを奪い返しにきた浅野の足が踏みつけた。
大畑の足元から離れたこぼれ球は、ボランチのマテウス・ブエノが回収して事なきを得た。
自陣の左サイドでうずくまり、痛みをこらえていた大畑もすぐに立ち上がる。
右手をブラブラと振りながら、ブエノからシャドーの嶋本悠大、左CBのマテウス・ブルネッティをへて回ってきたパスも受けた。
この時点で両チームともに無得点。しかしながら劣勢を強いられていた一戦は、45分に名古屋のシャドー木村勇大が決めた3試合連続ゴールで均衡が破れ、そのままハーフタイムを迎えた。
後半での巻き返し策を考えながら戻ったロッカールーム。吉田孝行監督から大畑が告げられたのは自身と、開幕から好調をキープしている36歳のベテラン、吉田豊との交代だった。
同期でありライバルの日髙華杜の存在

同期の日髙華杜【写真:Getty Images】
「今シーズンから清水エスパルスに加入して、特別指定選手だった昨シーズンも含めて初めて先発で使ってくれたなかで、自分自身もすごくワクワクした気持ちでピッチに立ったんですけど。
前半の45分間で交代してしまっただけでなく、チームも負けてしまった。本当に悔しい思いしか残らなかったし、自分自身のなかで何もできずに終わってしまった、という感覚もあるので」
法政大学の3年生だった昨年2月に、今シーズンからの清水加入が内定。同時にJFA・Jリーグ特別指定選手として承認され、昨シーズンは「37番」を背負って途中出場で2試合、計8分間プレーした。
背番号を「7がつく番号が好きなので、その中から直感で」と「97」を選んで迎えたルーキーイヤー。J1百年構想リーグに臨む清水で、大畑はここまで開幕から全12試合でベンチ入りを果たしてきた。
89分から途中出場した京都サンガF.C.との第2節を皮切りに、サンフレッチェ広島との前節まで4試合に出場。トータルで24分間にわたってプレーしてきたなかで、なかなか先発を射止められなかった。
対照的に同じ法政大学から清水へ加入した同期の日髙華杜(はると)が、名古屋との開幕戦を含めて左右のSBやWBですでに4試合で先発。プレータイムが334分を数えていた。
大卒で加入するJリーガーは、即戦力にならなければいけないと常に自らに言い聞かせてきた。
負けられない気持ちがさらに高ぶっていたなかで、ようやく前半のキックオフを告げる笛をピッチ上で聞いた。
「(先発するとわかったのは)先週の半ばくらいですね。週末に来る試合へ向けて100%の状態で挑めるための準備をするだけだと思っていたので、これまでと比べて特に変わりはなかったです」
慣れないWBでの反省点「もっと攻撃に関わって」

大畑凜生と交代した清水エスパルスの吉田豊【写真:Getty Images】
名古屋戦を迎えるまでの心境を、こう振り返った大畑が任されたのは左WB。前節の広島戦でも先発していた日髙に代わり、後半終了間際に左CBへ下がるまで務めていたポジションで、“ある”テーマを掲げていた。
「前節の広島戦のようにバックパスが増えてしまえば、相手の(プレスの)ベクトルがどんどん自分たちのほうに向いて、ますます苦しい時間帯が増えてしまう。そうなってはいけない、と思っていました。
さらに対面のウイングバックに自分がもっと当たる場面を増やせば、チームの守備もよりハマる状況を作れるんじゃないか。そう考えていたんですけど、思うように守備をさせてもらえませんでした」
攻撃面に目を移しても、名古屋の守備陣を脅かすシーンになかなか関われなかった。
左サイドから放ったクロスは19分の1本だけ。右足でゴール前のオ・セフンを狙った低く、速い弾道のボールは逆サイドに流れ、右WBの北爪健吾が放ったシュートもゴールの枠をとらえられなかった。
「もっと攻撃に関わって、自分のところでボールを落ち着かせて攻撃のテンポを作るところはもう少しできたんじゃないかと。前に行く姿勢や積極性を自分のところでもっと上げていかないといけない」
反省の弁ばかりを口にする大畑のプレーを、後半から代わった吉田はこんな思いで見つめていた。
「相手の攻撃に対して、こちらの守備のスライドがどうしてもうまくはまらなかった。そこは大畑だけじゃなくて周りの選手の一歩、半歩が局面でのいいプレッシャー、連動したいい守備につながるので」