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J1 5時間前

FC東京で稲村隼翔は自分を取り戻す。日本代表入りを焦っていた過去。先輩から受けた「全然戻ってもやり直せる」の言葉を胸に【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 フリーライター photo by 三原充史(Atsushi Mihara), Getty Images
稲村隼翔 FC東京
FC東京でプレーする稲村隼翔【写真:Getty Images】



 FC東京の勢いが止まらない。5月2日の川崎フロンターレ戦に2-0で勝利し、目下4連勝。3日の朝の段階では2026明治安田J1百年構想リーグEASTにおいて暫定首位にも立っており、好調ぶりがうかがえる。最終ラインからチームをけん引するのが、センターバックを担う稲村隼翔だ。セルティック挑戦から日本復帰後、「守れるDF」になりつつある。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]

明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンド第14節
FC東京 2-0 川崎フロンターレ
味の素スタジアム

川崎フロンターレの攻撃を遮断した2人のセンターバック

大森理生 FC東京
FC東京の大森理生【写真:Getty Images】

 松橋力蔵監督体制2年目の2026年J1百年構想リーグで、快進撃を見せるのがFC東京だ。

 4月までの13試合で90分負けはわずかに1。直近では横浜F・マリノス、水戸ホーリーホック、柏レイソルに3連勝を果たしている。

 首位を走る鹿島アントラーズに肉薄した状態で、5月2日の川崎フロンターレとの“多摩川クラシコ”を迎えることになった。

 彼らとは対照的に調子を落としているのが対戦相手の川崎だ。長谷部茂利監督は苦境打開を狙ってエリソン、神田奏真の2トップを採用。機動力と推進力を前面に押し出そうとしてきた。

 そこに立ちはだかったのが、稲村隼翔、大森理生の両センターバック(CB)だ。



 同じ2002年生まれの彼らはFC東京アカデミー出身。稲村がFC東京U-15深川、大森は同むさしでジュニアユース時代を過ごした。

 その後、前橋育英高校、東洋大学を経由し、プロになった稲村とは対照的に、大森はアカデミーから2021年にトップに昇格している。

 稲村は2人の関係について以下のように語る。

「中学生の頃は一緒にやったことはほぼほぼないです。当時は自分がボランチ、理生がCBでしたけど、僕は試合に出てなかったんで、トレセンとかでも絡みはない。

 だから、今、コンビを組んでいるのが不思議な気持ち。クラブにとってはすごく嬉しいことだと思うので、続けていきたいですね」

 フレッシュな23歳コンビで敵を封じるべく、味の素スタジアムのピッチに立った。

「前半は特に難しかったですけど…」

佐藤恵允 FC東京
先制点をあげる佐藤恵允【写真:三原充史(Atsushi Mihara)】

 序盤は川崎の積極性が目に付いたが、エリソンと神田のところになかなかボールが入らない。

 一方のFC東京も25分過ぎまでシュートゼロ。一進一退の攻防が続いた。

 その膠着状態を先に抜け出したのがFC東京。41分、川崎の宮城天のパスミスを拾った佐藤恵允が一気にドリブルで中央に持ち込み、左から走り込んできた佐藤龍之介にラストパスを繋ぐ。背番号23は強烈な左足シュートをお見舞いした。

 これを守護神・山口瑠伊がいったんは弾いたが、そこに佐藤恵允が飛び込んで左足ボレー。ボールは枠に吸い込まれていった。



「連戦の中で前半は特に難しかったですけど、前線の選手たちが必死に走ってくれて、点を取ってくれた。本当に助けられました」

 稲村はダブル佐藤の献身的な走りに心から感謝。前半を1−0で折り返せたことで、ゆとりを持てた様子だった。

 迎えた後半。川崎はキャプテン・脇坂泰斗、スピードスターのマルシーニョを頭から投入するなど、何とか流れを引き戻そうと必死だったが、FC東京の守備陣は動じなかった。

 そして57分には野澤零温の今季初ゴールも飛び出し、リードを2点に広げることに成功。直後に相手がラザル・ロマニッチらヘディング力の高いFWを入れたが、稲村ら守備陣は余裕を持って対応できたようだ。

サッカー日本代表入りへの焦燥「急いだ感じが自分の中にあった」

野澤零温 FC東京
チーム2点目をあげた野澤零温【写真:三原充史(Atsushi Mihara)】

「川崎のクロスやリスタートが増えて、競り合いが多くなりましたけど、そこは自分の毎試合の課題。競り合いのところをクリアしていかないと上には行けないし、リキさんからも言われているので、しっかりと自分と向き合いながら今、やっているところです。

(2025年夏から半年間在籍した)セルティックでは、もっと肉弾戦が多かったし、むしろそれしかないくらいの感じだった。シンプルに空中戦だけではなくて、デュエルのところでもっと強い選手が非常に多い。

 スコットランドだけじゃなくて、代表というところを見ると、もっとシンプルにフィジカルのレベルを上げていかないといけないし、デカい選手と戦う賢さを身に着けていかないといけない。そう感じたので、今、FC東京で取り組んでいます」



 そう語る稲村は、高い意識を持って日々を過ごしていることを明かす。

 彼の口から「代表」という言葉が出てきたのを見ても分かる通り、プロ入りして約半年で海外移籍に踏み切ったのは、「何とかして2026年北中米ワールドカップ(W杯)に滑り込みたい」という野心があったからだ。

「若い選手もどんどん欧州に行っていますし、向こうで通用しないと入れないところになってきているので。でも僕自身、今回のW杯に関しては、ちょっと急いだ感じが自分の中にあった」と本人は偽らざる本音を吐露した。

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