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【青山敏弘に聞く】日本代表、チュニジア戦のポイントは?「なんかもう今大会、鎌田が持っていくんじゃないか」

シリーズ:コラム text by 竹中愛美 photo by Shinya Tanaka,Getty Images
サッカー日本代表の鎌田大地

サッカー日本代表の鎌田大地【写真:田中伸弥】



 日本代表は日本時間6月21日、FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)グループリーグ第2戦でチュニジア代表と対戦する。初戦のオランダ戦で勝ち点1を獲得した森保ジャパンにとって、決勝トーナメント進出へ向けた重要な一戦だ。2014年ブラジルW杯メンバーで、現在はサンフレッチェ広島でコーチを務める青山敏弘氏に、チュニジア戦のポイントを聞いた。(取材・文:竹中愛美)

【単独インタビュー/取材日:6月17日】 

監督交代でチュニジアは何を変えてくるのか

スウェーデンに5-1で大敗したチュニジア代表 26年6月14日 北中米W杯 1次リーグF組第1節 スウェーデン×チュニジア 

スウェーデン代表に5-1で大敗を喫したチュニジア代表【写真:Getty Images】


ーーチュニジア代表の印象をどのように感じていますか?

「スーパースターがいないので、チームで戦うイメージなのかなとは思うんです。守備的で、セットプレーで、というところかなと思うんですけど、その守備的というのが1回崩れちゃったので、もう1回、そこをやり直すというか、監督が代わって、まずやるのはやっぱり守備からじゃないですか?

 もう1回そこをやり直すといっても、ベースはあると思う。(チュニジアは)その強みというものを全面に出す。それしか時間がないと思うんですけどね。あとは本当にセットプレー。僕がコーチ目線だったら、僕なんかですけど、そこしかいじるところがないなって思うんです」

ーーチュニジアは初戦のスウェーデン戦に1-5で大敗。サブリ・ラムシ監督が解任され、エルヴェ・ルナール監督が就任しました。短期間で実際にチームの土台を変えるということ自体、そもそも難しい話かと思います

「個人のチームじゃないと言っても、クオリティはあるというか、経験ある選手たちはいるので、チームが強さを取り戻せば、やっぱり個人(の強さも)も出てくる。なるべくそこのチームのところを前半の早いうちに壊したいですよね、用意してきたものを」

ーールナール監督は今年の4月までサウジアラビア代表の監督を務めていました。日本代表ともアジア最終予選で戦い、昨年3月の試合では0-0で引き分けています。日本のことを熟知しているという点はどのように作用されそうでしょうか?

「前回大会の予選でも当たってるんですよね?サウジと」

ーーはい、2022年のカタールワールドカップ(W杯)の出場権をかけたアジア最終予選でも対戦しています。そのときは1勝1敗でした。

「いや、強かったっすよね。その予選のときは(ルナール)監督はおられたんですか」

ーーはい、サウジアラビアの監督として対峙しています。

「そうですよね。もう直近の日本を知ってるってことですもんね」

ーーそうなりますね。

「やっぱり怖いっすよね。逆にこちらもわかっている部分もあるかもしれないですし、守備的って言っても、サウジのときは4バックでしたよね?」

ーー最終予選では4バックと5バックで臨んでいました。

「ちゃんとしたサッカーをしてくるんだろうし、そこの組織のところ、中5日でどこまで作れるか。ただ、能力がある選手は中にはいるので、それこそボランチの選手かな?(エリス・スキリのこと)、フランクルトでやっている。

 前の選手にプレミアでやっている10番の選手もいる(ハンニバル・メイブリのこと)し、そこがはまっちゃうと怖いなというのはあるんだけど、はまる前に試合を動かさないとというのが1番怖いかなと思います」

「監督交代は毒薬」。日本が早い時間に主導権を握りたい理由

チュニジア代表監督に就任したエルヴェ・ルナール監督

W杯初戦の大敗を受けて、サブリ・ラムシ監督が電撃解任。新たにチュニジア代表監督に就任したエルヴェ・ルナール監督【写真:Getty Images】


ーー前線には若手も含めて、勢いのある選手も確かにいますが、守備に脆さがあるようにも思いますが、そのあたりはいかがですか?

「不安定ですよね。失点シーンを見てると、裏を取られているイメージは残っていて。ブロックを敷いていない部分、結構カウンターでやられていたイメージがある。本来アフリカ予選でどう戦っていたか、ちょっとわからないですけど、まずそこの守備のところがバチっとはまっちゃえば、強さのカウンターとセットプレーが怖い。

 逆にそういう形にならないように早めに1点を取ってとか、裏が狙える状態、スペースがある状態は作らなきゃいけないですよね。と思うと、やっぱりセットプレーって大事だなと思いますね」

ーー確かに、セットプレーは大事になってきそうですね。

「監督が代わって、コーチがどこまで代わっているか、ちょっとわからないですけど、どこまでセットプレー含めてやり方が変わってるかも、もしかしたら注目のポイントかもしれない。監督だけだったらもしかしたら攻撃の仕方、守備の仕方は変わっていないかもしれないし…。

 でも、やっぱり監督が代わるってことは選手も入れ替わるし、情報量は多いので、そういうセットプレーの隙とか、切り替えのところの隙はもしかしたら多くなってくるかもしれないですね」

ーー気になったのは、W杯期間中に監督が解任されたというところです。なかなかないとは思いますが、選手側の視点に立った場合、どういう心情が予想されるものでしょうか?

「もう毒薬ですよね、完全に。どっちに転ぶか、そもそももうあとがない状態なので。もうそうするしかない。まあ、あれ以上は悪くならないっていう考え方に持っていくしかないでしょうけど、チュニジアの、アフリカ人のイメージとしては乗ればやっぱり怖いっすよね。

 ただ、今考えると乗らない…。状況からすれば間違いなく良くはない。日本人って、特に組織とか、規律とかを重んじるけど、アフリカ人にそういう感覚はないので。ただ、スイッチが入っちゃえば、1発怖いなというのがある。(日本は)チャンスはチャンスですよね。どう見ても」

キーマンは上田綺世と鎌田大地。「質で上回れる選手」

北中米W杯 1次リーグ オランダ戦でファンダイクとマッチアップするサッカー日本代表 上田綺世

オランダ戦で鎌田大地のパスからシュートまで持っていく上田綺世【写真:田中伸弥】


ーーこうした背景を踏まえて、今回のチュニジア戦の青山さんの注目選手、キーマンになってきそうな選手はどの選手になりそうですか?

「やっぱり裏が取れる選手、ゴール前の駆け引きができる選手、上田綺世だと思う。この間のオランダ戦で1本あったんですけど、鎌田(大地)選手から(のボールで)裏を走るような、相手が誰だろうが、もう質で上回れる。あの動きの質とテクニカルな、ボールもそうだし、2人のコンビネーションもそう。

 そういう質が合わさったときは相手がどうだろうが上回れるんだなというのはすごく興味深かった。日本って、そういうプレーができるんだなって、中村(敬斗)選手のゴールにしてもね。その前のコンビネーションもそうだし、グループとしてゴールに向かうときの強さ、質の高さは見てすごいなと思った。

 逆にチュニジア相手にすごくチャンスだなと思うんですよね。ああやって整う前にというのは。もちろん、個で上回ってほしいけど、それ以上にグループのコンビネーションは、すごく楽しみに思いましたね。綺世にはゴール前の動き出し、動き直しの質は期待したいところですね」

ーー前回のオランダ戦の展望をうかがったときに、ボランチの鎌田選手や佐野海舟選手がどこまでできるか、楽しみだとおっしゃっていましたが、オランダ戦を見て、光っていたプレーや、それがチュニジア戦でも活きそうな部分はありましたか?

「(日本の)2失点目のところは完全に中をやられているので、あの2人であそこを閉じていても、個で剥がされるのは、すごいなっていう思い。でも、W杯期間中に上げていける。佐野海舟は(W杯)初めてなので。そこはすごく期待できるところかなと思いますね」

ーーゲームの中でどんどん良くなっていく部分はありますよね。鎌田選手に関してはスタッツを見ると、タックルやデュエルで勝っていたり、守備の強度も高かったです。その辺りもまた期待感が持てる部分ではないでしょうか?

「皆さん、点を取った選手とか、守備を頑張っていた選手とかを言われるけど、あの2人の貢献度はすごく大きかった。もちろん、それはあの2人だけじゃなくて、連動してというのはわかるんですけど、結局のところはそこがうまく機能しているから、周りも機能するという話であって。特に鎌田はすごいなって。目立たないからこそ、すごいなとは思いますね」

ーー守備だけではなく、攻撃でも鎌田選手からの配球ではじまっていたりと、日本の中心でしたね。

「最後の得点、当たって入るっていう、なんかもう今大会、鎌田が持っていくんじゃないかというのは、ああいうシーン含めて、ちょっと期待しちゃいますよね」

ーー確かに、最初は小川航基選手のゴールかと思いましたが、鎌田選手の頭に当たってコースが変わり、ゴールに入りました。

「ああいう運は持っている人じゃないとやっぱり来ないし、1人ボランチが良ければ、もう 1人も上がってくると思うし、(今も)十分良いんだけど。

 次の試合、奪ってからの攻撃、特にカウンターのところ、切り替えのカウンターは中盤2人のところがキーになってくると思うので、交代で入ってくる(田中)碧もそうだし、すごく強みが出せる試合になってくるんじゃないかなと思いますね」

(後編に続く)

(取材・文:竹中愛美)

【著者プロフィール:竹中愛美】
1990年、北海道生まれ。Jリーグ開幕で世の中がサッカーブームに沸いていた幼少期、「入会したらヴェルディ川崎のボールペンがもらえる」の一言に釣られて地元のクラブでサッカーを始める。以降、サッカーの魅力に憑りつかれた日々を送ることに。ローカルテレビ局時代に選抜甲子園や平昌冬季五輪、北海道コンサドーレ札幌などを取材し、2025年よりカンゼンに所属。FWだったからか、この限られた文字数でも爪痕を残したいと目論むも狭いスペースの前に平伏す。ライターとして日々邁進中。

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