稲本潤一が超えてきた日本人の壁 ~海外でプレーする選手に求められること~(前編)

まだ「海外組」が希少な時代、欧州でプレーするということはどれだけ大変だったのか。そして、欧州への移籍が頻繁になったいま、海外で成功するために選手が考えるべきことは何か。欧州4ケ国を渡り歩き、9シーズンプレーしてきた稲本潤一(川崎フロンターレ)に話を聞いた。

2013年02月19日(Tue)17時33分配信

text by 戸塚啓 photo editorial staff
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【後編はこちらから】 | 【フットボールサミット第9回】掲載

日本人最長、最多の記録を持つ男

 日本人最長にして、最多の記録を持つ男である。欧州リーグ在籍9シーズンは日本人最長で、欧州内で4ケ国を渡り歩いたのは日本人最多だ。時代背景にも触れておくべきだろう。彼が欧州でのキャリアをスタートさせた2001-02シーズン当時、日本はまだW杯に一度しか出場したことがなかった。

 若年層の世界大会で結果を残しつつあったものの、世界のマーケットにおける日本人は不確定要素の拭えない銘柄だったのである。向かい風にさらされることは多かっただろう。日本人というだけで、厳しい評価を下されもしたに違いない。この男が積み上げてきた実績には、だからこそ格別の重みがある。

 稲本潤一の声に、耳を傾けてみよう。欧州における日本人フットボーラーの進化の足跡が、深みのある言葉から浮き彫りになるはずだ。


川崎フロンターレ・稲本潤一【写真:編集部】

――日本人選手が欧州でプレーするために必要なこととして、稲本選手がまず思い浮かべるものは?

「一歩を踏み出す勇気ですかね。日本にいるときから行くための努力をして、強い意思を持つ」

――事前にするべき努力とは、語学の習得でしょうか?

「それもあると思いますし、代理人さんを誰にするのかといったこともあるでしょうし。とにかく一歩を踏み出す勇気が必要じゃないですか」

――稲本選手が欧州へ渡った当時に比べると、移籍環境は劇的に変わりました。

「いまのほうが行きやすいでしょうね。日本人選手も欧州のスタンダードになりつつある感じがするし、以前より行きやすくなってるのかな、と」

――行きやすいというのは、移籍金のことですね。

「欧州の選手に比べると、ですが。移籍金が発生するとしてもそれほど高額じゃなくて、だけど、いい仕事をする選手が多いという評価じゃないですか? いまの状況はこれまで日本人選手が培ってきた土台があるからだろうし、同時にいま欧州でプレーしている選手の頑張りによるものでもあると思います」

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