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納得の完勝だったバイエルン。バルサはなぜ無力だったのか

text by 植田路生 photo by Ryota Harada、Kazhito Yamada / Kaz Photography

対策への「対策」がなかったバルサ

納得の完勝だったバイエルン。バルサはなぜ無力だったのか
前線から献身的なディフェンスをみせたマンジュキッチ【写真:原田亮太】

 1stレグでのバイエルンはバルサがハーフウェイラインを越えたあたりから5メートルくらいまでの間で激しくプレスをかけボールを奪っていた。

 ディフェンスラインではある程度ボールを回させ、中盤で数的優位をつくって奪う作戦だ。

 2ndレグ、バイエルンはボール奪取の位置を変えてきた。5メートルほど前から仕掛けるようになったのだ。

 メッシ不在によりシュバインシュタイガーに自由が増えたこと、マリオ・ゴメスよりも献身的な守備が出来るマンジュキッチが出場していたことが大きい。

 やや前掛かりになったバルサはラインが高かった。それもあり、ディフェンスラインにもバイエルンのプレスがかかるようになり、上手くボールを運ぶことが出来なかった。パスの出しどころが少なくなり、チャビとイニエスタが下がってもらいに来ることが多くなってしまった。

 必然的に前線の選手との距離は遠くなり、組み立てには時間がかかった。

 セスクはメッシのようにそのスペースを使おうとしたが、バイエルンはボランチ、あるいはセンターバックが素早くチェックに行くことで打ち消した。

 時折、サイドに張り出したアウベスにロングボールを蹴り込んだが、リベリーやマンジュキッチが下がって対応。攻撃のキーマンを消されたことでバルサは苦しくなったが、アウベスが右から崩すことなど誰もがわかっていることで、そこへの対策をするのは当然のこと。

 対策への「対策」がほとんどなかったと言っていい。

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