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リークによる“情報公開”がサッカー界にもたらす混沌。“暴露サイト”と流出元が語る問題の本質

text by 中山佑輔 photo by Getty Images

FLの公開する情報の信ぴょう性は?

FLが公開した、ガレス・ベイルの移籍に関するマドリーとトッテナムの合意書
FLが公開した、ガレス・ベイルの移籍に関するマドリーとトッテナムの合意書

 FLはどこから情報を得ているのだろうか。FLによる“情報公開”のターゲットとなったドイエンは、2015年11月の時点で、FLからの「サイバー攻撃」によって同社の情報が流出したという趣旨の声明文を出していた

「サイバー攻撃」をしたのかについて、FLから直接的な回答を得ることはできなかった。だが「ハッキングによって社会変革を迫るハクティビスムの一種としてFLの活動を捉えることは可能か」という我々の問いに対し、FLは以下のように答えた。

FL「その見解には賛同しかねる。我々はハッカーではなく、通常のコンピューター使用者でしかない」

 ここから類推するに、「サイバー攻撃」を受けたというドイエンの主張をFLは否定するに違いない。そして当然、FLが情報源を明かすことはなかった。

 情報源が秘匿された情報を、我々は本物と見なすことができるだろうか。FLのページ上に上がっている情報はExcelデータもあれば契約書をスキャンしたと思われているものもある。

 スキャンされた書類は、印刷された文字やロゴが擦り切れているように見える部分があり、公開された文書が本物であると思わせる説得力を強化している。しかしあくまで「本当らしく」見えるだけであって、それが本物であるという確信を得る根拠になるものはない。

 前述した2015年11月の声明文において、ドイエンはFLが公開している情報は「正しいものもあれば改ざんされたものもある」としていた。FLによる暴露に対して布石を打った格好だが、何が正しい情報で、何が改ざんされたものかについて言及しないこの言明は、それぞれの情報が改ざんされたものか否かがわからないという点で、FLの活動を無効化させるに近い反論になり得る。

 この点についてFLは全てが本物だと主張した。

FL「繰り返しになるが、そんなことを言っているのはドイエン・スポーツだけだ。

 トゥウェンテのスキャンダルの後で、ドイエンは秘密のTPO契約は偽物だと言った。しかし、その契約が存在することは明白だという証拠があまりにも多かったので、オランダサッカー連盟はドイエンの申し立てを却下している。

 我々は、すべての書類が100%本物だと保証する」

 FLはこのように言っているが、これですべてが本物だと信じきるとすれば、あまりにもピュア過ぎるだろう。

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