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わずか10分の“トーレス劇場”。バルサ戦またも退場者。シメオネを悩ますファウルトラブル

チャンピオンズリーグ(CL)ベスト8、1stレグ。バルセロナとアトレティコ・マドリーによるスペイン勢対決がカンプ・ノウで行われた。ポゼッションとプレッシングという対照的な武器を持つ両チームの戦いは常に白熱したものとなる。しかし、リーガエスパニョーラでの対戦時同様にアトレティコはファウルトラブルに悩まされた。(文:海老沢純一)

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

世界最高クラスの支配力と奪取力の激突

ディエゴ・シメオネ
アトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督【写真:Getty Images】

 バルセロナのポゼッションとアトレティコのプレッシング。この両チームの最大の武器は世界最高クラスのクオリティを誇るが故に、ある意味噛み合ってしまうため常に白熱の接戦となる。

 今季、リーガエスパニョーラでの2度の対戦では、ともにバルセロナが1点差での勝利を手にしているが、決して簡単な戦いとはならなかった。バルセロナが支配率、パス本数で大幅に上回れば、アトレティコはタックルやボール奪取で上回る。そして、作り出したチャンスも放ったシュートもほぼ互角。

 バルセロナ対アトレティコというカードは、ボールを支配することもピッチを走り回ることも大きな武器となる一方で決してどちらも正解ではないことを示している。

 この日、カンプ・ノウで行われた今季3度目の対戦でも、この両チームの武器・スタイルは“がっぷり四つ”で組み合った。

 前半の45分間、バルサは70.9%ものボールの支配権を握った。パス本数は354本:145本、そのうち成功数は318本:107本。倍以上ものパスをつなぎ、成功率でも90%:74%と大幅に上回った。

 本来、ここまでの差が付けばアトレティコ側にとっては絶望的な展開となるはず。気が遠くなるほどのピンチを迎え、無数のシュートを浴び、何度もネットを揺らされる…。ピッチ上での長い長い時間を過ごしたチームは世界に何チームも存在する。

 しかし、アトレティコは違う。ピッチ上の11人全員が“オールコートプレス”を仕掛け、ボールを持ったバルサの選手に対して強度高く寄せる。そして、ボールを奪えば一気に縦へ。

 その結果、チャンス数は6回(バルサ):4回(アトレティコ)、シュート数は6本:4本。やはり過去2戦同様にほぼ互角の数字となっていた。

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