決勝アトレティコ戦、チャンスを逃せば代償を払うことに
準決勝のもうひとつのカード、バイエルン対アトレティコを見たファンにとって、マドリー対シティは見劣りする試合だったかもしれない。
アリアンツ・アレーナでの試合は、90分を通じて緊張感の張りつめた空気が漂っていた。最後の最後までどちらが勝ち進んでもおかしくない戦いを演じ、まさに欧州最高峰と言える試合だった。
この接戦を制したアトレティコは、ディエゴ・シメオネ監督が植え付けた「攻撃的守備」が最大の持ち味。11人がコンパクトな守備ラインを形成してボール保持者に対して強烈なプレッシャーをかけてボールを奪い、そこから素早いカウンターを仕掛けてゴールに迫っていく。
アトレティコはボールポゼッションやチャンス数で劣っていてもじっくりと我慢をし続け、少ないチャンスを決めきる力を持っている。
マドリーは、準々決勝ヴォルフスブルク戦の1stレグや準決勝シティ戦の2試合のように、大一番であっても妙に気が抜ける試合を演じることがあるのが気掛かりなところ。
もし決勝で少しでも隙を見せれば、アトレティコは必ずそこに付け込んでくるはずだ。シティ戦は相手に反撃の力が残されていなかったから助かったものの、決勝でもチャンスをことごとく外し続ければ、その代償を払うことになるだろう。
アトレティコは、2年前にリスボンで敗れたリベンジに燃えているに違いない。マドリーは、シーズン最後にして最大の大一番でどこまで集中力を高めて臨むことができるか。
前人未踏の“ウン・デシマ”(11度目のCL優勝)へ。今日のようなプレーは許されない。
(文:今関飛駒)
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