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フランス代表指揮官が見せた優勝への執念。ただひたすらに勝利を目指す“スタイル”に導かれたレ・ブルー

text by 小澤亮太 photo by Getty Images

準決勝ドイツ戦を見据えた余裕の采配。視線はすでに決勝へ

ディディエ・デシャン
ディディエ・デシャン監督。フランスを優勝に導けるか【写真:Getty Images】

 前線のテクニックに優れた選手だけでなく、ムサ・シッソコやマテュイディなどフィジカルやスピードを前面に押し出したプレースタイルの選手がいることもフランスにとってはアクセントになっている。これは、デシャン監督が見せる勝利への執念の核とも言える。

 アディル・ラミの出場停止によって出番を得たサミュエル・ウンティティは初キャップとは思えないプレーぶりであった。CBとしては小柄な181cmであり、アイスランドのロングボールやロングスローの対応に苦労する場面も見られたが、安定したビルドアップでスムーズな攻撃に貢献をした。

 デシャン監督は失点シーンにかなり不満そうな表情を浮かべていたが、準決勝、決勝を前に厳しい戦いを強いられなかったことに胸をなでおろしているはずだ。勝負が決まった後半には出場停止にリーチがかかっていたジルー、ロラン・コシエルニーも交代させた。準決勝のドイツ戦に備えたあたり、自国開催での決勝進出、さらには優勝を間違いなく視野にとらえている。

 ドイツは2014ブラジルW杯の準々決勝で敗れた相手だ。優勝が義務付けられているフランスにとって、EURO2000以来のビッグトーナメント優勝へ突破しなければならない壁である。

 “レ・ブルー”(フランス代表の愛称)はグループステージ開幕戦のルーマニア戦や続くアルバニア戦など、苦しい戦いでも常に勝利をもぎ取ってきた。たとえ世界王者が相手でも、デシャン監督がその“スタイル”を曲げることは決してないだろう。

(文:小澤亮太)

【了】

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