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アジア 5年前

なぜ、韓国は “最弱”フィリピンに苦戦したのか? 決して悲観的でないが…手痛い2つの代償

text by キム・ドンヒョン photo by Getty Images

韓国を焦らせたフィリピンの戦法とは?

 というのもわけがなくはない。かつてイングランド代表の指揮を執っていたフィリピンのスヴェン・ゴラン・エリックソン監督は韓国を相手に極端な守備戦術を取り入れた。基本的には4-5-1のシステムを取るも、実際はほぼ7-3-0に近いほどの守備だった。前線にはスペインでのプレー経験を持つFWハビエル・パティーニョを置き、カウンターを狙った。

 フィリピンにとっては順当な戦い方であった。韓国は客観的に見てもフィリピンよりも強い。東南アジア諸国との試合同様、前線重視のサッカーだと勝てるわけがないという計算があったはずだ。

 そしてこの策が通じた。フィリピンの守備は堅固だった。すべての守備が一致団結し、韓国の攻撃を封鎖した。センターバックのアルバロ・シルバはまるで壁のような存在感を放っていた。ファン・ウィジョさえも苦戦したくらいだった。

 攻撃でも閃きがあった。ラインを上げた韓国の裏側を積極的に攻めてきた。パティーニョがボックス内で3回ほど危ない場面を作り出した。キム・スンギュのセーブがなかったら、十分ゴールにつながる可能性のあるシーンだった。

 この戦法のおかげで、韓国の攻撃にインテンシティがなくなった。ファン・ヒチャンがぐいぐいと前進するも、すでにフィリピン守備がポジェッションの確保しており、ボックス外からの無意味なボール回しが続く。韓国は試合を通してなんと81%のボールポゼッションを記録した。それでもすべてのパスが危険な場面につながらなかったのは、フィリピンの戦い方を褒めるしかない。

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