日本代表のチーム作りに潜在する2つの難問【サッカー批評 issue54】

『ザッケローニのチーム設計が導き出す答えとは?』
一見順風満帆に見える日本代表だが、内包する課題も存在する。もしそれらの問題が表面化したときに何が起こるのか。2012年、新たなシーズンを前にそれらの難題を直視しておく必要がある。

2012年12月11日(Tue)23時54分配信

text by 西部謙司 photo Kenzaburo Matsuoka
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ザッケローニのチーム作りに潜在する問題点とは【写真:松岡健三郎】

表面的には順風満帆

 アルベルト・ザッケローニ監督が就任して、はじめて負けたのが前のアウェーでの北朝鮮戦だった。ただ、3次予選通過を決めた後の消化試合であり、放り込み戦法だと苦戦してしまったが、深刻なダメージではない。 日本代表は極めて順調だ。少なくとも表面的には。

 奥歯にモノが挟まったような書き方になっているのは、表面的には大きな問題にはなっていないものの、いくつかの課題を抱えたままだからだ。

 その潜在的な問題が2012年中に、あるいはブラジルW杯までに表面化する、とはかぎらない。目に見える形で解決するかもしれないし、誰も気がつかないうちに忘れ去られ、そのまま何事もないままかもしれない。

 ただ、極めて順調な日本代表の歩みの裏には、いつ噴出してもおかしくない問題が潜んでいる。

遠藤のバックアップ

 誰もが気づいていながら、いまだに解決策がないまま、いたずらに時間だけが過ぎている問題点がある。遠藤保仁のバックアップがそれだ。

 遠藤がいるときの日本代表と、いないときでは、まるで違うチームのようになってしまう。いわゆる“代えの効かない存在”になってしまっている。

 強いチームというのは、何人かの代えの効かない存在によって支えられているものだ。そういうプレーヤーがいるからこそ強力なのであって、代えの効かない存在はチームにとって本来悪いことではない。

 遠藤のケースが問題になってしまうのは、彼がブラジルW杯本大会のときに34歳になるからだ。

 31歳の遠藤が活躍しているのだから、34歳でも同じかもしれない。しかし、通常34歳はピークを過ぎている。負傷のリスクも高くなる。いざというときに備えて、遠藤の代役を用意しておくのは当然だ。ところが、もともと代えの効かない存在なのだから、そう簡単に代役など見つかるはずもない。

 ザッケローニ監督は一時期、家長昭博を起用していた。家長はキープ力が抜群で、遠藤に劣らない正確なボールタッチができる。素質は十分。だが、結局はフィットしないまま代表にも呼ばれなくなってしまった。所属クラブのマジョルカでのポジションが違っていて、出場機会も増えておらず、ザッケローニ監督がボランチで起用した試合で致命的なミスを犯すなど、信頼を得るには至らなかったようだ。

 遠藤を休ませた北朝鮮戦では、細貝萌を先発させた。だが、細貝は遠藤とは違うタイプのボランチだ。その点は、細貝とともに代表の常連組である阿部勇樹も同じである。

 もし、ザッケローニ監督が遠藤不在の際に細貝を第一候補と考えているなら、それは遠藤の代役としてではない。そのときは、遠藤がいるときとは“違うチーム”になる。

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