〔日本人、監督論〕城福浩『反骨心』【サッカー批評 issue58】

2012年12月14日(Fri)16時19分配信

text by 飯尾篤史 photo Kenzaburo Matsuoka
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J2ではスタイルより結果がすべて

――J1とJ2の違いについては、どう感じていますか?

「サッカー自体に違いはないけれど、『順風満帆なプロ生活を送ってきたわけじゃない選手が多い』という言い方はできると思います。どういうことかと言うと、『1年でも長くピッチに立つためにはチームが結果を出すしかないということを理解している選手が多い』ということ。誤解を恐れずに言えば、J1の特に代表クラスの選手は、新しい監督が来ると『俺を輝かせてくれるんですか?』というスタンスで見るんですね。でも、J2ではそれがない。あるのは『1年でも長くプレーするにはどうすべきか』という想い。だから、監督が対戦相手によってスタイルを変えても、選手全員がそれに従って全力でプレーする。J1でそんなことをしたら、『今までは一体なんだったの?』という声が挙がるでしょう。でもJ2は、スタイルうんぬんの前に結果こそすべてという意識が強いんです。なぜなら、チームが結果を出せなかったために、ゼロ円提示された経験のある選手が多いから」

――4節で対戦し、甲府が今季、初黒星を喫した山形もそうでしたね。

「そう。分析しても『あれ、全然違うぞ』と。町田も甲府との対戦で初めて5バックを採用してきた。それでも選手たちは必死にプレーする。J2ってそういうリーグだし、相手がどう出てくるか、やってみないとわからない。それがJ2の面白さでもあります」

――同じことが甲府にも言えるんじゃないでしょうか。驚かされたのは7月22日の千葉戦です。試合前、「負けたら立ち位置を見直さなければならないほど大事なゲーム」とおっしゃっていました。そして蓋を開けてみれば、ポゼッションをいったん脇に置き、千葉のストロングポイントを消すことに主眼を置いた戦い方で1-0の勝利。あれはひとつの賭けだったのでは?

「確かに重要な一戦でしたけど、前回の対戦を分析していたので、一か八かの賭けというわけではありませんよ。前回は0-2で敗れましたが、やられたのはカウンターだけだった。そこさえケアすれば勝てる可能性があると思っていたので、カウンターを出させない工夫をし、それを実現できるメンバーを送り出したんです」

――城福さんは甲府を率いるにあたって、「プロビンチアの象徴になる」と宣言し、選手、クラブ、サポーター、地元が一体になって戦うことを打ち出しましたが、当初と今ではサポート体制に変化を感じますか?

「そこはね、『城福がそう言うから、サポートしよう』って、そんな甘いもんじゃないですよ。それは僕らが勝ち取らなければならないもので、『ヴァンフォーレに乗っかりたいな』『乗っかれば町おこしになるぞ』と思わせなければならない。それには、僕らがサッカーで地元の人たちを熱狂させ、その渦に周りを巻き込んでく。そうすることで、スポンサーに名乗りを挙げてくれる企業や、好意的に受け止めてくれたりする自治体が出てくるものだと思います」

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