ガンバ大阪のチームメートが体感する、背番号7の進化(後編)

『明神智和、加地亮、中澤聡太、武井択也の証言』
遠藤とともにガンバ大阪で中盤を形成する明神智和と武井択也、99年ワールドユースでも一緒にプレーした同期の加地亮、そして現在CBとして遠藤の背中を見続ける中澤聡太らが、進化を続ける遠藤保仁を分析する。

2012年12月24日(Mon)14時17分配信

text by 下薗昌記 photo Kenzaburo Matsuoka
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【前編】 | 【中編】 | 【フットボールサミット第6回】掲載

近年の遠藤は、大舞台ほどフィニッシュにその能力を発揮する

 冷静沈着。泰然自若。いかに全国区のプレーヤーとして注目を集めようと、おごりもなければ、慢心もない。「私生活もプレーのまんま。ホントにヤットはマイペースで、のほほーんとしてます」と加地も笑うが、ピッチ内で見せるそのプレーは実に雄弁だ。

 一時、話題を集めた遠藤の代名詞でもある「コロコロPK」やW杯南アフリカ大会のデンマーク戦で披露したワールドクラスの直接FKなど、セットプレーの上手さはいまさら言うまでもないが、近年の遠藤は大舞台ほど、流れの中でフィニッシュにその能力を発揮する。

 そのポテンシャルが明確になったのがガンバ大阪がアジア王者に上り詰めた2008年シーズンのことだった。この年、大阪の雄は、ニ度目の挑戦となるアジアチャンピオンズリーグ(ACL)で前人未到のアウェイ全勝で優勝を飾るが、遠藤は準決勝以降の4試合中、3試合で計3得点。ACLのMVPとアジアサッカー連盟による年間最優秀選手選出も納得の活躍だったが、その背景には名将、西野元監督の起用があった。

「ヤットのキックの精度をFW的に相手ゴールに近いところで、使いたいというのがこのシステム」(西野元監督)
 シーズン途中にエースのバレーが中東に電撃移籍し、前線の構成に苦心していた名将が選んだ苦肉の策が4-2-3-1の導入だった。ワントップのルーカスに近い2列目で、遠藤が新境地を開拓し始めたが、ある意味それは必然だった。

 抜群のパス精度を持つ男が、今度は相手ゴールにパスさながらの精度でシュートを狙い始めただけのことだったが、西野前監督の慧眼もさすがと言うべきだろう。

「誰が決めても、チームが勝てば、それでいい」(遠藤)。相変わらず、その言葉は一見「裏方」のそれだが、チームメイトからの信頼はもはや絶大だ。「去年のリーグ戦開幕のセレッソ戦での2点目とか、チームが苦しい時、点を取って欲しい時に決められるのは凄いの一言。W杯のような大舞台でも(FKを)決めてますし、やっぱり持ってますね(笑)」(武井)

 ともにピッチに立つ男たちが、改めて舌を巻くのがそのメンタルと技術の融合である。

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