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日本代表 11年前

日韓サッカーについて考える―プラカード問題、因縁の歴史、ライバルとしての未来。(後編)

text by 植田路生 photo by Ryota Harada

もっと多くの試合を組んで欲しい

佐山「僕は環境面でも優位に立って欲しいと思います。02年共催時に陸上兼用スタジアムが日本側10会場中の7。向こうは10造ったうちの6会場が専用でショックでした。ロンドン五輪を見ていても、どこもとても気持ちのいいスタジアムでした。やっぱり、スポーツの覇権を握っているのは、相変わらず大英帝国だなと。あとは、韓国哲学を学ぶことで日本代表の勝率3割UP! みたいな本が出てくるのを待ってます」

山本「この状況は20年ぐらいは変わらないんじゃないかと思いますね。お互いに負けた時に次どうしようって考える。特に韓国はそれが強い。日本が勝ち続けるには韓国をメインターゲットにしないといけないし、そうなると今度は別のところから水が漏れるようなことになる気がするんですよ。だとすると、この関係でいいのかな。日本は韓国に負けてもイタリアに勝てばそれでいい、でも韓国はその逆。そういう感覚の違いは、しばらく変わらないでしょうね」

後藤「もっとやりたいですね。折角隣にこんないい相手がいるんだから、年に1回は。日韓戦の日っていうのを決めて、その日にはフル代表、五輪代表、U-20、U-17、女子、フットサル、ビーチ、いろんな会場で試合してわぁーと盛り上がるとかさ。『こいつら汚ねぇ』なんてお互いに言いながら」

佐山「フェスティバル化して?」

「24時間テレビみたいに」

山本「1日でやるのはもったいない。テレビ屋的に言うと」

後藤「じゃあ日韓ウィーク」

山本「一週間かけて最後にパーティでもやる感じですか」

後藤「最後にフル代表。問題は日程だけど、やっぱり8月15日かな(笑)」

佐山「“竹島の日”の2月22日は幸か不幸かオフシーズン(笑)」

山本「盛り上がってアジアの各国が放映権を買いにくる、ぐらいになるといいですよね」

――それはいいですね。では、今日は記念すべき企画が立ち上がった日ですね。

佐山「そうそう。名付けて、『後藤・山本カップ』」

【了】

初出:サッカー批評issue58

プロフィール

後藤健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授。

山本浩
1953年島根県出身。東京外国語大学ドイツ語学科卒。元NHKエグゼクティブアナウンサー、解説委員。1976年にNHKに入社し、マラドーナが5人抜きした試合など多数のサッカー中継の実況を担当。「サッカー実況のカリスマ」。2009年より法政大学の教授に就任。

佐山一郎
1953 年東京生まれ。作家。成蹊大学文学部卒。雑誌編集長を経て84年よりフリー。最新刊に『VANから遠く離れて 評伝石津謙介』(岩波書店)。観戦歴は後藤氏と同じ1964年10月11日(日)13:00、K.O. 東京五輪グループB ハンガリー6-0モロッコ(得点はすべてベネ)から。

黄慈権(ファンチャゴン)
1979年埼玉県出身。在日三世。日本大卒。学生時代に毎日新聞のコーナー『キャンパる』で記事を書き、ライター活動をスタートする。卒業後、広告制作会社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。著書は『【内田篤人】夢をかなえる能力』(ぱる出版)。

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