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金崎夢生、“殊勲のデビュー戦”に見る戦術効果を徹底分析

text by 河治良幸 photo by Ryota Harada

奥行きをもたらすポジショニングの上手さ

 FWのフランツとの交替で投入された金崎。この時点でニュルンベルクは前線にペクハルト1人を置く[4-1-4-1]に。金崎は基本的に左のハーフに配置される形になり、さらに2人の選手交替があった81分からは右サイドに回った。

 その中で1トップが手前に引きながらロングパスを受けようとすると、ハノーファーのDFラインも合わせてプッシュアップすることになるが、金崎が流れに応じて高いポジションに上がり、しかもDFラインの合間に入っていく構えを示すことで、“疑似的なFW”として相手のDFラインをけん制した。

 70分の場面ではGKのツィーラーからのロングボールを1トップのペクハルトが競りに行き、フォイルナーが追い越して受けたが、その間に金崎が右SBの酒井宏と右CBジュルーの間に侵入。

 そのためハノーファーのDFラインはペクハルトに付いて前に出たシュルツに合わせラインを上げることができず、手前にフォイルナーがボールを持って前を向くスペースが生じた。

 ここは咄嗟に下がって来たホフマンが間一髪で見舞ったタックルにフォイルナーがバランスを崩され、惜しくもビッグチャンスにならなかった。だが、サイドのポジションから攻撃に奥行きをもたらす金崎の動きが、ハノーファーのDFラインを押し下げ、中盤に間延びを生む要因になっていた。

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