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長友佑都 11年前

ミラノダービーで負傷しながらアシストを決めた、長友佑都の底力

text by 神尾光臣 photo by Kazuhito Yamada

長友が後半に見せた『底力』

 その後もインテルは劣勢の極みだったが、GKハンダノビッチの奮闘もあってなんとか失点を1に抑えてハーフタイムへ。「長友が自分の指示に従いすぎて、エル・シャラウィにマンマークで付いてしまった。さすがに修正する必要があった」と、長友とサネッティの位置を入れ替える。

 ただ手慣れた左サイドで挽回しようと思った矢先、今度はアクシデントが発生。対面のボアテンクやノチェリーノらと接触するうちに「相手の膝が入って(長友)」、左膝を捻ってしまったのだ。

 しかしそういう状況でも、仕事をしてしまう底力が長友には備わっていた。26分、スローインからボールを受けると、ドリブルで内側に切り返す。すると投入直後の右MFスケロットがゴール前に入り込んだのを見て、右足でクロス。柔らかくもスピードに乗ったボールはスケロットの頭を正確に捉え、彼のヘッダーはゴール右下隅へ突き刺さった。

「練習でやっていたことが出た」と本人は喜んでいた。左サイドでのプレイの精度は、バレージ助監督の指導のもと、反復練習で磨かれているものである。主に左で起用されていることも単純に寄与しているのか、攻撃参加の際は右よりも左の方が明らかにスムーズな印象がある。

 一方、今後の課題は守備の向上か。1対1となり、走力と集中力を活かせる場面では強い。ただ相手に数的優位を仕掛けられ、マークを捨ててスペースをケアするべきか判断を迷わされる場合には、左右のサイドを問わず対応に難がある。その点後半に右へ回ったサネッティは、絞ったエル・シャラウィを見つつも外へ侵入した選手を確実に潰しに行っており、対応のうまさを感じた。

 ともかく、プレッシャーの掛かるダービーで自らを試合中に立て直し、得点に関与するプレイが出来る存在になったことは、やはり成長の証と言えるだろう。気になるのは「今までやったことがなかった」という膝の具合だ。検査結果が出ていないため現時点で症状は分からないが、長引かないことを祈りたい。

【了】

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