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【ロングインタビュー】海を渡ったジャパニーズフットボーラー・赤星貴文「日本人として海外でプレーする意義」【第二部】

text by 長束恭行 photo by Yasuyuki Nagatsuka

インフラが整備されているポーランド

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【写真:長束恭行】

――ポゴンではどの位置でもFKを任されています。ここではセットプレーが非常に重要な得点源になっていますよね。

「点がなかなか入らないリーグでして、得点率が高いのがコーナーキックかフリーキック。だからセットプレーはかなり重要です。入団当初は僕がFKの技術を持っていることを知られておらず、直ぐには任されなかったのですが、これも練習をやっていくうちに分かるじゃないですか。

任されてからはずっと担当しています。小学校の時からCKとFKはずっと蹴っていますね。リエパーヤでもレッズでも水戸でも」

――ポゴンのサポーターは非常に熱いサポーターと聞いていますが、来た当初から受け入れは凄く良かったんですか?

「うーん、最初は『どうなんだコイツ』みたいな感じの雰囲気は出ていましたけど(苦笑) でも僕のプレーを見て段々と。違いを見せられるようになってからかもしれませんね。街ではよくサポーターから話しかけられます。元々フレンドリーな国民ですからね」

――ポーランドのサッカー環境の話をすれば、インフラ面、とりわけスタジアム施設が充実しています。実際に色んなスタジアムを周られてみていかかですか?

「古いのがシュチェチンの僕らのスタジアムだけなんですよ。他のスタジアムはほぼ新調しているのに。EURO2012で幾つも作られたじゃないですか。レギア・ワルシャワもそうですが、他のクラブもしっかりとしたスタジアムを持っている。

これからもインフラは良くなると思いますが、意味が分からないのはピッチの下にヒーターをつけないんですよ。何十億もかけてスタジアムを作ったのにヒーターがないため、冬場には雪が残っちゃう。

ブンデスリーガだったらヒーターのないスタジアムは開催許可が降りないんですよね。それが普通じゃないですか、雪国なんだから。ポーランドは雪国なのに新しいスタジアムにヒーターがないため、折角素晴らしいスタジアムでも雪まみれになるんですよ。

最近まで積雪があったじゃないですか。試合中にも雪が降ってくるから、段々とピッチに雪が積もってしまう。ピッチ状態も後のほうが悪くなっちゃって。不思議ですよね。なんか惜しい気がします」

――ポゴンでの二年目は激しい昇格争いを演じました。二年目はチーム全体が昇格を目指そうという感じでしたか?

「正直、半年間やった時点で違うチームに移籍しようかなとも思いました。一部でやりたいというのもあったし、現にオファーをもらっていたんですね。だけど、ポゴンが凄く僕を必要としてくれて、『一部に上がるために選手を補強するので、君には残って欲しい』と言われました。

その時は悩みました。でも本当に補強したんですよ。当時いた選手は数人しか残らず、がらりと変わって。確かに強くなったんですよね。クラブが本気で考えているのならば残ってもいいかな、というのもあったし、クラブ昇格に貢献するのも歴史に名を刻めるチャンスである、なんて話を周囲としました」

――シーズン前半は良かったものの、昇格争いは最終節までもつれましたね。

「前半戦もそんなに良くはなかったんですよ。かなり苦労はしていたんですけど、何とか上手くいって。でも後半戦に入ってから全然ダメになっちゃって。そこからは本当に大変でしたね。皆がギリギリのところで戦っていく、みたいな」

――今考えると、一年を通して昇格を勝ち取った経験はいかがですか?

「いやー、大きかったと思うし、やっぱりあの一年でチームが昇格したことによって自分の立場も良くなりましたからね」

【第三部に続く】

プロフィール

赤星貴文(あかほしたかふみ)
1986年生まれ。藤枝東高校から2005年、浦和レッズへ加入。しかし、出場機会に恵まれずその後は水戸ホーリーホックやモンテディオ山形へ期限付き移籍。ツエーゲン金沢を経てラトビアのリエパーヤ・メタルルグスへ移籍。2011年よりポーランドのポゴン・シュチェチンでプレーする。ポジションはMF。
オフィシャルブログ:http://www.diamondblog.jp/takafumi_akahoshi/

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