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レアルが“奇跡の逆転”を起こすために必要なこと

text by 植田路生 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ドルトムントの連動性のある守備をどう崩すか

 守備より先に考えるべきは攻撃だろう。何しろ3点が必要なのだ。1stレグはドルトムントのリトリートが早く、カウンターよりもポゼッションにやや重きを置きたい意向があったのかモドリッチを起用した。しかし、周知の通り、これは機能せず。

 ドルトムントは例えばサイドバックが攻撃陣を追い越し、マークのズレを狙った場合でもきちんと付いて来ていた。単純な“引き剥がし”は通用しない。であれば、FWも含めた3人以上での連動で崩したい。

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イグアインとベンゼマの併用はあるか?【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 これまでのマドリーは基本的に1トップでベンゼマかイグアインのどちらかが先発だった。思い切って2トップとし、トップの人数を増やすことで、サイドから崩し場合では、FWの1人がウイングやサイドバックとのパス交換に参加。すると、残りの1人はゴール前で構えていることが出来る。

 1人残っていることは非常に重要で、これによりDFはゴール前に残らざるを得なくなる。サイドでの守備が多少手薄になり、突破しやすくなる。初戦よりはチャンスを増やすことが出来るだろう。

 先発メンバーは悩ましいところだが、個人で局面打開を出来るロナウド(3点をとるには彼の神がかり的な突破力は必要不可欠だ)、攻撃を組み立てられるエジルは外せない。カウンターの場面は1stレグよりも少なくなると考えると、カカではなく、普段通りディ・マリアがいいだろう。

 最初から飛ばして点をとらなければならないだけに、ベンゼマ、イグアインも揃って先発。ケディラを外した4-1-3-2という超攻撃的布陣は、この試合に限ればナンセンスではない。

 守備に関しては、ボールロストの瞬間から奪う意識が欲しい。ビルドアップの段階で奪われないように注意しつつ、ゴール前でロストすれば複数人が戻りながらしっかりとボールを奪う、もしくはパスコースを切る動きが欲しい。

 あとは何より、ハードワークが求められる。ドルトムントよりも組織力で下回ることを自覚し、相手よりは走り、完成度の低さをカバーする。そんな謙虚な気持ちで試合に臨みたい。もしかすると、マドリーの最も重要な改善点はそこなのかもしれないが。

【了】

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