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契約延長を勝ち取ったランパード。決意に隠されたモウリーニョ復帰の可能性

text by 山中忍 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ランパード契約延長には恩師の影が

 急転直下とさえ言える契約延長は、ジョゼ・モウリーニョの復帰説と無関係ではないだろう。加齢に伴うリスクを嫌う経営陣は、表面的な年齢にこだわり、実質的な貢献度に目を向けようとしなかった。そうでなければ、昨年12月に怪我から復帰した後、3試合連続ゴールで復調を示した2月の時点で、契約提示への動きが見られてもよかったはずだ。

 実際には、ランパード側が「何の動きもない」とこぼし、LAギャラクシーを筆頭に、契約満了に伴う今夏の移籍が濃厚と見られる状態で後半戦が進んだ。6月に予定されていたランパードの挙式が延期されると、メディアでは米国MLSがシーズン真っ最中である点が指摘された。

 クラブ側の翻意は、モウリーニョ率いるレアル・マドリーのCL敗退直後のことだ。

「愛される任地に行きたい。イングランドでは愛されている。特に、ある1つのクラブでは」という敗軍監督の言葉は、2004年からの3年間で国内タイトルを総なめにした、チェルシーへのラブコールに他ならない。6年前には確執が退任を招いたオーナーとの関係は、とうに修復済みだ。

 モウリーニョが、ランパード残留を就任条件に挙げたという説もある。その信憑性は定かではないが、5年前にインテル・ミラノ監督として引抜きを画策したように、ランパードが「お気に入り」であることは間違いない。

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