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勇敢さが仇となったドルトムント。勝機ある中で決勝点を許したのはなぜか?【CL決勝徹底分析】

text by 河治良幸 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

終盤はオープンな展開。ドルトムントにもチャンスが

 前半に自分たちのリズムを掴んだ10~25分は確かに得点チャンスも多く、振り返ればドルトムントにとって勿体ない時間帯ではあったが、クロップ監督が“勝てるかもしれない”と強く感じたのは終盤に差しかかる60~80分の時間帯、特に同点に追い付いてから10分ほどの時間ではないか。

 決勝という舞台において、後半の14分に悲願の先制点をあげたバイエルンは一度、試合のペースを落としにかかった。ここでしばらく膠着状態に持ち込めれば、リードしたバイエルンが完全に主導権を握れていたはずだ。しかし、全体を押し上げ攻勢をかけるドルトムントに対し、バイエルンの守備陣は腰が引けた様な状態になった。

 そして66分、ボアテンクのクリアが小さくなったセカンドボールをグロスクロイツが拾うと、アタッキングサードは4対4となり、縦のロビングパスを受けたロイスがダンテのファウルを誘ってPKを獲得。ギュンドアンが同点ゴールを決めた。

 一気に逆転を狙うドルトムントは、相手CKのカウンターに乗じてフンメルスがミドルシュートを放つと、前方への圧力を高めて攻勢をかけた。中盤のプレスがはまり、ショートカウンターから勝機を見出そうとした、前半終わりから後半の立ち上がりと打って変わり、互いが互いのゴールを脅かす、非常にオープンでスリリングな展開となった。

 バイエルンのカウンターから、CBのスボティッチが間一髪のクリアに逃れた場面や、アラバの強烈なミドルをGKヴァイデンフェラーが素晴らしいセービングで防いだ場面もあったが、ドルトムントにとっても得点をあげる大きなチャンスでもあった。

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