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日本代表 11年前

日本代表チームメートが語る本田という存在(後偏)

text by 元川悦子 photo by Asuka Kudo/Football Channel

高橋秀人「決してブレない」

 現時点で、槙野のように本田から影響を受けている若手は少なくないだろう。本田の一言二言が代表経験の少ない選手には大きな“刺激”となっている。アゼルバイジャン戦で国際Aマッチデビューを飾った高橋秀人(FC東京)も、本田の言葉に背中を押されたと打ち明ける。

「アゼルバイジャン戦のハーフタイムに交代を告げられた時、『ヒデ、ザック監督はこの場面ではこう動けとか戦術的にいろいろ言っているけど、それを気にしすぎず、お前の好きなようにプレーしろ』と圭佑さんが話しかけてくれたんです。試合前にはほとんど喋ったことがなかったのにね。佑都君も『お前はまだ何も得てない選手なんだから、ミスしてもチャレンジし続けろ』と言ってくれました。

 あの2人の発言があったことで、『何かをやってやろう』っていう気持ちになれましたね。僕は黒子に徹してれば自分のスタイル的にいいといつもは考えていますけど、あの時だけは『何かを残そう』と思えたし、後半のパフォーマンスは全然良くなかったのに最終予選に残ることができた。さりげない一言でしたけれど、僕に与えた影響はとてつもなく大きかったのかなと思います。

日本代表チームメートが語る本田という存在(後編)
高橋は気配りのできる気さくな人柄だと本田を評する【写真:工藤明日香(フットボールチャンネル)】

 圭佑さんと佑都君は自分が苦しい経験をしてきた過程をよく見つめて、それをよく整理しているから、自信と説得力を持って人に意思を伝える表現ができる。『こうだから、こうなんだよ』って包むような言い方をする。

 だから僕らも納得できるんです。しかも2人は1つのことをなあなあにしない。つねに200点の答えを追い求めて本質を突き詰めようとする。それだけの強い意志を持っているし、決してブレないですよね。代表で一緒になって改めてすごいと思いました」

 高橋のような新たに代表入りした選手を快く受け入れ、1つの大きな輪が生まれるように努力しているのも本田らしさなのではないだろうか。彼はピッチ内のみならず、宿舎や食事の時にも人間関係を潤滑にさせる気配りを怠らないという。

 槙野が「6月の最終予選の時なんかは、食事が終わった後、2時間も圭佑君を中心に佑都、香川、西川(周作=広島)なんかで若者談義をしていました」と嬉しそうに言う一方で、高橋秀人も「合宿の途中に1回、みんなで焼肉を食べに行ったことがあったけど、僕は麻也とウッチー、圭佑さんと一緒の席で、圭佑さんが全部肉を焼いてよそってくれた。そんな配慮のある人ですよね」と話す。

 こうした細かい部分まで気の利いた行動を取れることも、チームメートの絶対的な信頼につながっているのだろう。

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