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日本への感謝、ホンダへの意識――。Jリーグ育ちのフッキは母国で真の姿を見せることができるか

text by 下薗昌記 photo by Kenzaburo Matsuoka

知られざるフッキの原点

 ネイマールら他のブラジル人選手とは一線を画する圧倒的なフィジカルとスピードを売りにするフッキは日本戦とメキシコ戦の連勝において欠かせないチームのパーツとなりつつあるが、今後求められるのがやはり、ゼニトやポルトで披露してきたそのフィニッシュ能力だ。

 22日のイタリア戦は、グループリーグ1位通過を賭けた舞台であると同時に、フッキにとって「原点」への回帰となる。

 イタリア戦が行われるブラジル最初の首都、サウヴァドールはフッキが来日する前にプロデビューを果たしたヴィトーリアが本拠地とする町だ。

 2004年のブラジル全国選手権はアウェイの1試合しか経験していないが、新たに立て直される前のフォンチ・ノヴァにおいてフッキはサウヴァドール最大のクラシコ、バイーア対ヴィトーリア、通称「バ・ヴィ」を経験しているという。

 ただ、まだ来年の本大会行きのチケットを確実にしていないフッキにとって、感慨に浸る間もないのがイタリアとの対戦だ。

「試合を重ねるごとに連携はもっと良くなっていく。この大会が終わるまでに100%のフッキをブラジルに知ってもらえるはずだよ」

 かつて18歳の少年がプレーしたフォンチ・ノヴァが全く異なる様相で生まれ変わったように、フッキの記憶をわずかに残すサウヴァドールのサポーターたちは、この男の真の姿を見る事になる。

【了】

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