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世界との差を痛感した日本代表の守備陣。ディフェンス再建に向けた今野泰幸の決意

text by 元川悦子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

マイボールにする大切さ

「イタリアの堅い守備に対して3点も取れたし、決定機も作れた。どの相手にもこのサッカーができれば、今の攻撃陣ならチャンスを作ってくれるという確信は得た。だからこそ失点を減らさないといけないのは間違いないですね。4失点したら勝てない」と今野は自らに言い聞かせるように言った。

 最後のメキシコ戦(ベロオリゾンテ)は無失点で乗り切って今後につなげたいという思いは守備陣全体に強かったはず。今野もそう考えながら最終戦のピッチに立った。が、この試合でもまたエルナンデスという決めるべき選手に決められてしまう。「世界とやるときには失点ゼロにするのはかなり難しい」と彼はため息交じりに話した。

「3試合やって一番思ったのは、一瞬も集中を切らしちゃいけないなということ。一つのポジションミスが失点に直結する。アジアではちょっとのミスでも何とかなっちゃうんですよ。でもこのレベルだとミスが一つ、二つ重なったら、すぐ失点につながる。

何が起こるか予測して、もっと危機感を高めて、ポジションミスがないようにしないと。あとはラインの上げ下げ。コントロールしながら相手FWと駆け引きする。バロテッリとかとやって身体能力の違いも分かった。

ここから1年で身体能力を上げていくのは難しいから、努力はしますけど、ラインコントロールだったり、頭を使ってプレーすることがより大事になってくると思います」

 ボールをクリアした後、できるだけマイボールにして攻撃につなげられる態勢を整えることの重要性も再認識したという。

「押し込まれてマイボールにできないのは守備だけの問題じゃない。ただクリアするんじゃなくてマイボールにできれば違う。ボールを落ち着かせて攻撃につなげられれば一番いいし、押し込まれた時もラインコントロールをこまめにしながら割り切って全員で守ることも大事。堅く、スキを与えない戦いをすることが世界では重要ですよね」と今野は目指すべき方向性が明確になったようだ。

 ガンバ大阪は今季J2の舞台で戦っており、レベルの高い相手との対戦で自身を成長させるには不利と言える。だが、意識の高い彼なら必ず前進を見せてくれるはず。3試合9失点の屈辱を今野泰幸が忘れることはない。

【了】

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