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メッシは是か非か? 世界一の選手が告発された脱税容疑事件。現地記者がその手口と背景を解説

text by 山本美智子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

容疑の詳細、メッシは何をした?

 今回の訴状にサインした検察官、ラファエル・アマド氏にEFE(スペイン通信社)がアクセスし、この事件が世界に発信された。

 同検察官のことばを借りれば、「課税を回避する目的」で、「タックスヘブン(ベイリーズ、ウルグアイ)にて、それを目的とした企業間でライセンス契約を結び、サービスを提供し、また、利便性を目的として住居登録(イギリス、スイス)を行った」という容疑がかけられている。

 言い換えれば、実際には売買されていなかった肖像権をこれらの国であたかも取引があったかのように取り繕うことで、スペイン国内での納税義務から逃れていたということになる。

 メッシ本人が、今回、訴えられたことについて、自身のFACEBOOKを通して出したコメントは、「スペイン税務署が行動を起こしたことを新聞を通して知りました。僕らには驚くべきことで、というのも、決して僕らはこういった罪を犯したことがなかったからです。

 僕らは常に税理士のアドバイスに従って、納税義務を果たしてきました。税理士がこの状況を明らかにすることでしょう」というものだった。

 メッシの立場からすれば、至極、まっとうなコメントであり、要するに責任逃れをするわけではないが、担当責任者の税理士に詳細は聞いてください、と暗に訴えているわけだ。

 この非常にまっとうな自己防衛をしているメッシに対し、今度はスペイン政府の文化相が「法律は全ての人々に平等」なので、「それは世界ナンバーワンにとっても同じ」、法相が「裁判長が支払いを命じたら、必ず、支払うことになると確信しています。逆に支払わなくていいと判断されれば、払わないでしょう」と発言した。

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