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日本代表 11年前

ポゼッションへの固執はあるのか――。遠藤保仁が考えるザックジャパン守備再生へのビジョン

text by 元川悦子 photo by Asuka Kudo / Football Channel

どう守備修正を図っていくのか?

「90分間、極力コンパクトにして全員の意思統一をしっかりしながら戦うことは大事だけど、状況によっては大きくクリアとか、つなげなかったらセーフティにやるのも必要になってくるのかなと。

 守備のやり方に関しては基本的には今までやってきたことはそのままですし、はめ込んだときにいかに取りに行けるかですけど、今回みたいに暑い時は90分間、高い位置から行けないこともある。

 そういう時はブロックを作ってしっかりと跳ね返せるようにしないといけないと思いますけど。いずれにしても、自分たちの時間帯に決定的なチャンスを作ってゴールすること、我慢強く守ることは間違いなく必要になってきますね」と彼は戦い方に幅を持たせるべきだと示唆する。

 本田圭佑や香川真司ら引いて守ることに対してネガティブな考えを持っている選手もいる中、いかにそういう戦術を盛り込みつつ、守備修正を図っていくのか。百戦錬磨の遠藤にかかる部分は大きい。

 一方、攻撃の方は香川と本田が2ゴールをマークしたが、当初の主要テーマだった柿谷と豊田の融合は不完全燃焼に終わった。それでも遠藤自身は「柿谷君は前を向かせたら怖い選手だと思うので、極力そういう形を作りたいなと。今回はなかなかうまく入らなかったですけど、何本か裏に抜けてオフサイドになったのもありました。

 下がらずに我慢強く前で一発を狙うとか、時にはサイドに流れてもいいので、少しずつでも形を作っていければいいのかな。徐々にやっていけばいい武器になっていくとは思いましたね」と柿谷の可能性を前向きに受け止めた様子だ。

 後半になって左サイドバックの酒井高徳をうまく使い、攻撃を活性化させたことも、彼は収穫と捉えているという。

「高徳のサイドは何本かいいクロスが上がっていたので、ミスを少なくして、左サイドから攻撃チャンスを作れればと思いました。後半は押し込む時間もありましたし、左サイドから何本か崩せたので、前半より精度を上げることができたと思います」と遠藤は言う。

 こうした課題と収穫をどう1年後のブラジルW杯本大会につなげるか…。ベテランの遠藤は率先してこのテーマに挑んでいく必要がある。今こそ豊富な経験をチームにもたらす時期が来ている。

【了】

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