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日本代表 11年前

攻撃停滞の要因はクロスの質にあり。アジアを超えた戦いでザックジャパンに求められること

text by 河治良幸 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

酒井宏樹「合わせるクロスは跳ね返される」

 もっともカウンター気味の攻撃からのクロスはまだ可能性があった。より苦しかったのは相手が引いた状態で出すクロスだ。特に後半の早い時間帯に先制されてから、相手のディフェンスが揃っている状態では、いくら精度の高いクロスを上げてもナスタシッチやイバノビッチに体を入れられ、ターゲットの手前で跳ね返られてしまったのだ。

 前線の選手が足を揃えた状態でまともなクロスを上げても、高さ、強さ、読みを併せ持つ守備者を越えることも外すこともできない。そうした問題点を指摘したのが、翌日の練習で精力的にクロスを出していた酒井宏樹だ。

「合わせるクロスが多かった。合わせるクロスを上げてもやっぱり、ああいう世界レベルのDFがいたら跳ね返されるのは必然ですし、もっともっと受ける選手が走って足先で触る様なクロスが良かったんじゃないかなと思います」

 酒井宏樹の持ち味は速いクロスであり、もともと点より線をイメージして出すクロスを得意とする。セルビア戦でサブだっただけに “俺が出ればより危険な場面を作り出せる”というアピールでもあるはずだが、「個人としてというよりは、チームとしてやっていかないといけない」と語る彼の指摘は、攻撃の方向性に関連する的確な意見と言える。

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