ファンに後押しされた背中は一際大きく
夏の終わりのことだった。ホームで行われたCLのプレーオフ、対PAOK戦をチケット観戦した。
客席に着くや否や、「ウシー! ワハハ」という大きな声がしたかと思うと、大きな手で背をさすられた。驚いて振り向くと、年配の男性と、若い太った男の子が並んで座っている。ドイツ人だった。
聞けば、いわゆるオジとオイの関係だという。オジの方はすっかり出来上がっていたため、オイの方に、内田の印象について聞いてみる。
「ディフェンスはあまり好きじゃないんだ。でも、オフェンスは、好きだよ」オジの方は、相も変わらず僕の背をさすってくる。
「ワハハ! ウシー」
ちょっとしたやり取りの中にも、内田がファンに愛され、そっと後押しを受けている様が垣間見えた。
ゲームは69分にトーレスに、87分にはアザールに双方ともカウンターから決められ、シャルケは息の根を止められてしまった。
内田の背中はどのようにして造り上げられたのだろうか。もちろん一朝一夕にではなく、ときに罵声を浴び、ときに声援を受け、今節のような厳しい戦いを幾度も経て造り上げられたのだろう。柔らかくて、優しくて、そっと後押ししたくなる。そんな背中もまた、内田篤人の魅力なのではないだろうか。
シャルケは勝ちを得る事はできず、0-3のスコアでの完敗だったが、内田ならば、直ぐに切り替えて次戦のドルトムント戦へと立ち向かうだろう。
その背に、毅然とした矜持を取り戻して。
【了】
関連リンク
1点を守り切り、シャルケCL連勝。チームに強い影響を与えた内田篤人の闘争心
堅実な守備では高評価も攻撃には課題。今、内田篤人に求められていることとは何か?
内田の心理学