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代表 10年前

今の代表は国民性そのもの。個人主義のレ・ブルーに勝利至上主義のフランス国民がNon!

text by 小川由紀子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

「個人主義」との批判。しかしそもそもフランス国民は…

 外国人の立場でこの喧噪を見ていると、とても滑稽だ。

 なぜなら、代表チームのイメージはフランス国民のそれとよく似ているからだ。フランス代表をけなすことは、まるで自分で自分をけなしているみたいに見える。

 サッカーに限らず、チームスポーツを取材していていつも感じるのは、代表チームには、戦い方やチームの哲学の部分にその国の国民性やキャラクターが表れている、ということだ。

「代表」と呼ぶことからして、それも当然なのだろうが、先日、現在イケイケのベルギー代表を取材したときにもそれを実感した。やや自信なげで自分をあえて前に押し出すのは好まないが、実直でまっすぐなため、突き進むとガッと行ける、というところはまさにベルギー人気質そのものだ。

 日本代表だって、日本人らしいなぁと思える部分はたくさんあるだろう。

 フランス人は、「人生」についておおらかで自由な発想を持っているところなど、愛すべきところはたくさんある。

 と前置いた上で、社会で共同生活する中で困った人たちだな、と日常感じるのは、「義務より権利を主張する」「他の人のことは考えない」といったところだ(たとえば「思いやり」という言葉を訳したくても、フランス語には存在していない)。

 南アフリカでは、ブチ切れたアネルカがドメネク監督に暴言を吐き、そこからチームの不満が一気に爆発して練習ボイコット事件へと発展したが、意にそぐわないことがあれば、すぐにデモ行進をしてストライキをする、市井の人々と行動はなんら同じではないか。

「個人主義である」と選手たちは非難されているが、外国人に言わせれば良い点、悪い点含めてフランス自体が個人主義の集合体だ。

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