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代表 10年前

今の代表は国民性そのもの。個人主義のレ・ブルーに勝利至上主義のフランス国民がNon!

text by 小川由紀子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

わかりやすい勝利至上主義

 同じテレビ番組で、ベンゼマは「とにかく結果を出すしかない。結果を出せば印象も変わる」と言っていた。それは大いに期待できるだろう。

 このアンケートは、10月の代表2連戦の前に行われている。直後にオーストラリアとの親善試合に6-0で快勝し、予選のベラルーシ戦、フィンランド戦も制した後なら、結果も多少は違っていたはずだ。

 パリSGのサポーターもそうだが、勝てばシュプレヒコール、負けたらすぐブーイングと、この国の人たちは非常にわかりやすい『勝利至上主義』なのだ。

 かつて、今はなきサッカー月刊誌で弱小国やマイナー国を訪ね歩く連載をしていたことがあった。フェロー諸島やマルタ、アンドラ、アジアのラオスやブルネイ、インド、NSL黎明期のアメリカなど、40カ所以上を訪れた。

 たとえ結果は出ていなくても、それぞれの国にサッカーにまつわる歴史や文化があり、人々の悲喜こもごもがあり…といった内容だったのだが、それを知った知り合いのフランス人編集者にこう言われたことがある。

「フランスではそんな企画は絶対に成り立たない。この国の人々は勝ったチームにしか興味がない。万年負けている弱いチームの話なんて、誰も聞きたくはない。どこが面白いのか理解できないよ」

 低迷しているときに、サポートしてスランプ脱出を助けよう、という気持ちはないのか(本来、サポーターとは「サポートする人」の意であるはずだが)…。

 エリートサラリーマンだったご主人が左遷されたら愛情を失って離婚してしまうのだろうか、だから離婚率がこんなに高いのか(パリでは50%以上)…。

 と発想も飛躍してしまうが、ともかく国民の愛情をつなぎとめておくためには、今週始まるプレーオフ、対ウクライナ戦での勝利は必須だ。

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