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香川真司 10年前

マンUのサッカーは本当に“つまらない”のか。香川が挑むフットボールの国の壁とは?

シリーズ:フットボール母国の神髄 text by 森昌利 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

プレミアで進化したロナウド

 プレミアで求められるその4資質の中身をあえて解説すれば、(1)は押されても引かれても崩れないバランスの強さ。(2)は1対1サッカーでのプレーの速さ。(3)文字通り豊富な運動量の裏付けになるスタミナ。特に中盤選手に求められる。(4)ボールを扱う技術。スペースがないサッカーでとくにファーストタッチの能力。となる。

 もちろん、精神面は非常に大切だ。イングランドのサッカーに対するメンタリティに関しては、次回のコラムでたっぷりご紹介したいが、スポーツ選手というより、戦士という感覚が求められる。非常に強い気持ちが必要だろう。

 イングランドという土壌が生み出したという点では、先ほど言ったようにルーニーが最高だが、プレミアリーグによって創造されたとしたら、僕はクリスティアーノ・ロナウドがその頂点に立つと思う。

 2003年、ポルトガルのスポルティング・リスボンからやって来たほっそりした18歳少年が、ユナイテッドでの6年間で見せた進化は恐るべきものだった。

 その6年の間に、ロナウドは踊るようなラテンの軽やかなスキルに一刀両断するようなアングロサクソンの剛胆さを加え、サッカー帝国である欧州の南と北を自身の体の中で併合し、フットボーラーとしてある種完璧な存在になった。

 もしもあのスーパースターが、ポルトガルからスペインへ直接移籍していたら、あの肉体は完成したのか。僕の答はNOである。

【次ページ】強さ身に付けた香川
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