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代表 10年前

なぜ「赤い悪魔」と呼ばれるのか? 試合前に知っておきたいベルギー代表とお国事情

ブラバント公国と国歌

 ベルギー国歌は『ブラバントの歌』という。「ブラバント」とは、かつてオランダ南部からフランスまであった大国「ブラバント公国」から採られた地名だ。リヒャルト・ワーグナーのオペラ『ローエングリン』にも出てくる。

 ベルギー王室では、今でも法定推定相続人(次の王位継承者)の名前に「ブラバント公」の称号が付く。現在は、国王ご夫妻の第一子であるブラバント公エリザベート王女がそれにあたる。

 この国歌が生まれた時代、現在のベルギー一帯はネーデルラント王国(オランダ)に併合されていた。ところが、隣国フランスで7月革命が起こると、それに刺激を受けた国民が独立革命を起こすことになる。その革命の最中に生まれたのが、この『ブラバントの歌』だ。

なぜ「赤い悪魔」と呼ばれるのか? 試合前に知っておきたいベルギー代表とお国事情
ベルギー国歌は『ブラバントの歌』という

『ブラバントの歌』
おお、崇高なるベルギー
永遠に愛する国
純血なる我等の魂と
この腕は祖国のために

我等は誓う 皆、唯一の叫びを
「祖国よ、絶えず偉大で美しくあれ」
そして我等の不屈の団結は
永遠の標語を抱かせる
「王と、法と、自由のために」

 不屈の団結を謳っているわりには、ベルギーをほぼ二分するオランダ語圏のフラマン人と、フランス語圏のワロン人は仲が良くない。そんなわけでベルギーは連邦国家という形をとっている。

 国歌も演奏される地域によって、フランス語バージョンになったり、ベルギー語バージョンになったりする。

 両者が交じりあっているブリュッセルでは、二つのバージョンが入り混じった歌声がスタジアムに響き渡ることになるので、注目してほしい。

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