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Jリーグ 10年前

実は後半戦1位の新潟。意外でなかったマリノス戦勝利から見える、2ステージ制以降後の超混戦と大混乱

text by 川端暁彦 photo by Asuka Kudo / Football Channel

起きやすくなる「前半で予想外の低迷をしたクラブの驚異的巻き返し」

 最終節で「二つの優勝争い」が完全に別個の形で行われ、さらに「ステージ2位争い」も行われることになる。今年は関係なくなったが、例年であれば、ここに「年間順位に基づく残留争い」も加わるだろう。

 大宮の逆パターンのような戦績(つまりファーストステージで低迷し、セカンドステージに躍進したケース)を残したチームが現れた場合は、「最終節ではステージ優勝を争いつつ、残留も争う」といった摩訶不思議な事態も起き得る。

 むしろ2ステージ制が導入されると、ステージの間で心理面での切り替えがやりやすくなるので、こうした「前半で予想外の低迷をしたクラブの驚異的巻き返し」は、むしろ起こりやすくなるように思う。

 繰り返すが、Jリーグは戦力拮抗のリーグである。今年の流れがとりわけ特殊だとは思わない。かつて2ステージ制が導入されていた当時のような、「優勝は鹿島か磐田だろうな」と言えてしまった時代のようなクラブ間の戦力格差は、善くも悪くも存在しないのだ。

 こうした状態を「消化試合がなくなる」と見るか、「わけわからん」と見るかは意見の分かれるところだろう。リーグ関係者の多くが属するであろう前者の言い分もわからなくはない。

 この「J1後期順位表」は、逆に考えれば、ステージ優勝やステージ2位の可能性が、残留を争う恐れのあるような予算規模のクラブにも広がっていることを裏付けるもの。「夢がある」という見方もできる。

 シーズン終盤になって中位チームが目的意識を持てない試合が続いてしまうといった事態も避けられる。中小クラブが軒並み2ステージ制導入に反対しなかった理由の根っ子もそこにある。

 一発逆転を狙えるカップ戦のような醍醐味が2ステージ制には確かにあるわけだ(もちろん言うまでもなく、年間を通したリーグ戦の良さは「一発逆転ができないこと」にあるわけだが)。

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