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香川真司 10年前

ルーニー孤立招いた香川との『距離感』。2人を遠ざけたマンUに足りない連動性

text by 内藤秀明 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

遠くなってしまった香川とルーニーの距離

ルーニー孤立招いた香川との『距離感』。2人を遠ざけたマンUに足りない連動性
ルーニーと香川が連動して惜しいシーンがあった【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 ギグスは元ウイングというのもあり、特別視野が広いわけではない。ただし細かいタッチのドリブルが強みで、シャフタールのプレッシャーをドリブルで突破できるはずだった。しかし、キャリックの負傷以降、出場頻度が増えた40歳の大ベテランは、少しコンディションを落としてしまったようだ。ドリブルを相手に奪われるシーンが何度もあった。

 以上のことがあり、組み立てがまったくうまくいかず、香川が下がってボールをさばかなければならなかった、というのが四つ目の理由だ。

 確かに、ユナイテッドのリズムが悪かったので、香川が下がった判断は決して悪いものではなかった。ただし、香川が組み立てに参加した結果、ルーニーとの距離が遠くなり、このイングランド代表FWは完全に孤立してしまった。

 とはいえ、多くはなかったがルーニーと香川が連動すればチャンスになっていたのも確か。前半だけでも26分と27分に、ルーニーと香川が連動して惜しいシーンがあった。

 26分には、香川がゆっくりと相手最終ラインにまで近づくと、香川が元いたスペースにルーニーが入ってボールを受ける。すると、ルーニーはすぐさま香川に対してスルーパスを出した。ここは香川の要求とルーニーのアイディアが少しずれてしまったため、相手にボールを奪われる。しかし、悪くないシーンだった。

 27分は、カウンターのシーンで、まずルーニーが右サイド流れてボールを受ける。そして高い位置にいる香川は相手の裏を狙うふりをして、足下に要求すると、ルーニーはベストなタイミングで香川の足下に縦パスをいれる。その後シュートまで至らないものの、これも良い連携のシーンだった。

 この二つのシーンだけでも明らかなのは、ルーニーは基本的に香川のことを理解していることだ。もちろん彼らは同じ人間ではないので、26分のようなわずかなズレがでることもある、ただし相性が良いのは間違いなく、いい距離感でプレーしたいところだ。

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