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W杯“死の組”をイングランドはどう受け止めたのか? 悲観と強気が交錯するなか見えたベスト8への希望

ブラジルW杯で“死の組”に入ったイングランド。メディアは悲観的な見方だが、代表選手、国内の識者は強気の姿勢だ。中にはベスト8への「道が拓けた」とする意見もある。その理由とは?

text by 山中忍 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

頻繁に使われた「死の組」という言葉

W杯“死の組”をイングランドはどう受け止めたのか? 悲観と強気が交錯するなか見えたベスト8への希望
イングランドは“死の組”グループDに入った

 代表再建に取組中のイングランドでは、元々、W杯ブラジル大会での優勝など期待されていない。予選突破を決めた時点でも、ベスト8なら上出来とする意見が多かった。国内の各ブックメイカーも、イングランドの優勝に約20倍の高倍率をつけていた。

 そして、組分け抽選が行われた12月6日、その倍率は、40倍以上へと引き上げられた。「まさかの優勝」が、更に遠退いたというわけだ。

 Dグループの対戦相手はイタリア、ウルグアイ、コスタリカ。イタリアは、言わずと知れた国際大会の試合巧者。ウルグアイは、同じ南米という地の利に加え、ルイス・スアレスとエディンソン・カバーニという、今大会最強レベルのFWコンビを擁する。小粒なコスタリカにも、国際大会では初顔合わせということで、未知数としての不安がある。

 しかも、イングランドは、大事な初戦をマナウスで戦うことになった。拠点となるリオデジャネイロからは、飛行機でも5時間。気候は、高温多湿の熱帯性。ロイ・ホジソンが最も避けたがっていた開催都市がマナウスだった。くじ運の悪さを伝える国内メディアで、「死の組」という言葉が頻繁に使われたのも無理はない。

 とはいえ、イングランドと言えば不屈の「ブルドッグ精神」。戦わずして降参はない。国民気質には、窮地に笑える心の余裕もある。抽選会場では、グレッグ・ダイクFA会長が、苦笑いと共に喉元をかっ切る仕草を見せた。

 だが、そのブラックユーモアに国民が「裏切り者!」などとツイッターで意義を唱えたように、開幕を待たずしての逆境が闘争心に火をつけた部分もある。

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