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W杯“死の組”をイングランドはどう受け止めたのか? 悲観と強気が交錯するなか見えたベスト8への希望

text by 山中忍 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

「自分がチームの一員なら、舌舐めずりして開幕を待つ」(シアラー)

 当然の如く、当事者たちは強気だ。指揮官が「グループ内の他国もイングランドの存在が嫌なはずだ」と言えば、新生代の中核と目されるジャック・ウィルシャーも、「優勝を目指すなら強豪との対戦は当たり前」と頼もしい。同様に、母国の識者たちも前向きだ。

 抽選の様子を中継したBBCでは、実況担当が「哀れなホジソン」と結果を伝えたが、元代表エースのアラン・シアラーは、「哀れどころか、自分がチームの一員なら、舌舐めずりして開幕を待つ」と言っている。

 黒星発進は厳禁としながらも、蒸し暑いマナウスでの初戦が、「同じ欧州勢」のイタリアである点は不幸中の幸いだという。そのイタリアにはPK戦で敗れたものの、EURO2012で「120分間を0-0で抑えた」実績があるとも指摘した。

 たしかに、いかにイングランドより暖かいイタリアでも、80%を超す湿度に慣れているわけではない。コンフェデ杯という「予行演習」は体験していても、問題のマナウスで試合は行われなかった。イタリアには、EURO後の親善試合で勝ってもいる。

 シアラーは、マンチェスター・ユナイテッドで個人的には今季好調なウェイン・ルーニー、リバプールでゴールを重ねているダニエル・スタリッジらの名前を挙げて、母国代表には「結果を出せる戦力がある」と断言している。

 やはり、キーマンとして挙げたスティーブン・ジェラードは、怪我による年末年始の国内過密日程の欠場が、貴重な休養となって「吉」と出るかもしれない。

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