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サッカー海外組第1号はなんとあの有名歌手の弟

text by 植田路生 photo by editorial staff

わずか1シーズンで引退したワケとは

 佐田が東方でプレーしていたのは1シーズンのみ。そこで現役生活を終えている。あっさりと辞めてしまったのは兄とのある約束があったからだ。

 フォークグループ「グレープ」でデビューしたさだまさしだったが、75年にグレープを解散、独立しソロで活動することになる。それに伴い佐田は、兄との約束を守り、歌手さだまさしを支えるようになる。

「もちろんまだまだプレーできましたよ。ただ、さだと中学生の時に交わした約束が忘れられなくてね。さだからしたら、そんなに深い意味はなくて何の気なしに『独立したときは手伝ってくれよ』と言ったのかもしれません。

 僕はただ『わかった』とだけ言ったんですが、どうしてもそれが頭から離れなくて。それでスパっと決断したんです。その約束がなければもう少しプレーしたかったですけどね」

 歴史にたらればは禁物だが、夢想してしまうのは人間の性だ。もし佐田が、もう少しだけ長く現役を続けていたなら、どうなっただろうか。今のような海外組隆盛の時代がもっと早くに到来していたかもしれない。とすると、W杯初出場も現実より早くに……。そんな想像も悪くはない。

【了】

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