W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。地球の裏側でJリーグを放送した男の足跡(その1)

Jリーグに最も多く、日本サッカーのレベル向上に一役買ったのがブラジル人だ。彼らを引き寄せたのは“金”ではあるが、Jリーグに無知でないことも理由の一つだろう。意外なことにJリーグは草創期にブラジルで放送されているのだ。それを実現したある日系人の足跡を追う。

2014年01月14日(Tue)15時21分配信

シリーズ:W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール
text by 田崎健太 photo Kenta Tazaki
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ブラジルになぜかヴェルディ川崎のユニフォーム

 ときに他人の手柄まで自らのものとして、自分の功績を声高に主張する人間よりも、ひっそりと信じることをやり遂げてきた人間の方にぼくは興味を感じる。そうした控えめな、名を知られぬ人によって世界は作り上げられてきたのだ――。

 95年にブラジルを訪れたとき、サンパウロのスポーツ用品店を見に行ったことを覚えている。ブラジル代表の黄色のユニフォームはもちろん、白と黒のコリンチャンス、緑色のパルメイラス、白と黒と赤のサンパウロFCなど色とりどりのユニフォームがハンガーに掛けて吊されていた。

 一枚一枚たぐり寄せて見ていくと見慣れたユニフォームにぶつかった。鮮やかな緑色、右胸の辺りから放射線状に白い線が入り、大きく「YOMIURI」と書かれていた。ヴェルディ川崎のユニフォームだった。

 一度もW杯に出場していない日本はサッカーの世界で全くの無名だった。サッカー王国のブラジルでJリーグのクラブのユニフォームを見つけるとは思ってもいなかった。

「どうしてここでヴェルディのユニフォームを売っているの? ヴェルディなんて誰も知らないでしょ?」

 店員に尋ねると「毎週Jリーグの試合を中継しているんだよ」と教えられた。ブラジルで日本のサッカーを見ている人がいるのだと嬉しくなった。

 その後、様々なブラジル人選手から、日本へ行く前にJリーグの試合を見ていたと聞いた。ジーコが「Jリーグの試合がブラジルで放映されて、日本のサッカーのレベルはそれほど低くないとブラジル人は知ったんだよ」と教えてくれたこともあった。

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