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Jリーグ 10年前

鹿島アントラーズという環境―大岩剛が見てきた若き内田篤人―

text by 田中滋 photo by Kenzaburo Matsuoka

チームの約束を守ることが大前提としてあるはず

――例えば、大岩さんが左センターバックを務めていたとき、右サイドバックの内田選手に高い位置を取らせるため心がけていたことはどんなことでしたでしょうか? あがったときに右にズレていくこと以外には?

「もちろんズレるのもそうですけど、左サイドバックとポジショニングとボランチのポジショニングをその状況に合わせてしっかり修正させることに気を遣ってました。僕の場合は、自分のポジションよりも、その他のポジションをうまく動かしてあげるほうが大事だと思っていました。だから、代表で例えると、長友が左から上がる、今野が左にずれる。

 麻也が左にずれる。でも、右サイドバックの篤人は単純に後ろに下がるんじゃなくて、少し内側に絞りながらの前気味にポジションを取らせる。そうすることで、左サイドから展開してきたときに、すぐに攻撃に行けるようなポジショニングを取らせてあげたい。そのためにはボランチをどこに置かなきゃいけないとか、センターバックが考えないといけない。チームのなかに決まりがあるなかで、いかに各々の選手の個性を出させてあげられるかだと思うんです。

 もちろん、レベルが上がれば上がるほど、きっちりとしたポジションを取らないといざというとき守れないのだろうけど、篤人の特長を出すことによって相手を封じるというのも駆け引きだと思うので。ただ、僕は外野の人間。日本代表の戦術、チームの約束を守ることが大前提としてあるはずなので、あくまで個人的な意見ですけどね」

――内田篤人選手が06年に鹿島に加入してから10年の途中でシャルケに移籍するまで、お二人は途中出場まで含めると70試合ほど同じピッチに立っています。

「結構、一緒にやってますね。そんなにやっているとは正直思っていませんでした」

――なにか印象に残ってる試合はありますか?

「彼が最初に得点した試合はとても印象に残っています。確か、ホームで甲府とやって勝った試合だったと思います。あれは何節でした? 第4節? あの試合は印象に残っています」

――どういうところが?

「高卒で1年目で先発して、すぐに点を取ってしまった。『ああ、この子はこういう星の下に生まれた子なんだ』と思いましたね。最近の選手は、試合に出始めるとすぐに注目されて、いろんなプレッシャーがかかっちゃうんじゃないですか。それでも、そうしたプレッシャーに負けずにずっと試合に出続ける選手は残りますよね。彼は、そのあともずっと試合に出続けましたしね」


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