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「チャンスをつかまなくては」。主力の負傷、憧れの舞台で誓った吉田麻也の強い決意

シリーズ:フットボール母国の神髄 text by 森昌利 photo by Getty Images , Kazhito Yamada / Kaz Photography

プレミアリーグという特別な場所

 まあ、モウリーニョらしいロジックではあるが、あの闘将が引用するほど、ロブレンとフォンテの名前は、今季の前半戦、プレミア全クラブに響き渡った。

 もちろん麻也もそのことは分かっている。「他のクラブの監督(モウリーニョ)がいうように、あの2人が良かったのは事実」と話して、強力なチーム内ライバルの存在にはぐっと気を引き締めた。

 この半年間が麻也にとって辛かったのは確かなことだ。昨季は麻也がサウサンプトンの守りの主役だった。移籍が頭をよぎったか? という質問には「もちろん」と即答した。しかし、プレミアは麻也にとって特別な場所だった。

「最終的に自分がどうなりたいのかということ、ユースの頃からどこで活躍したいのかということを振り返った時、やっぱり、イングランドに来て活躍したいと思っていたんで。半年出られないだけで、そのつかみかけている夢を簡単にあきらめて、オランダやドイツに行くっていうのは、自分の中では違うのかなと思った」

 だから当然、格下とのFA杯戦でクリーンシートを達成したからといって、満足できるはずがないのだろう。ここでやるんだと夢見てきた場所だからこそ、そしてチームが急激に進化している最中だからこそ、懸命にやる気持ちを失うことはできない。

「正直入った時は、(プレミアに昇格したばかりで)非常に身の丈に合ったクラブだと思っていました。けれどもこの1年で、大きく変わったんで。他の選手のレベルも高くなっている。自分もその成長スピードについていかないと、置いてけぼりにされてしまう。

 そういうことは練習の中でも感じる。やはりアダム(ララナ。最近はイングランド代表に定着)なんかは急激に伸びている。もともと上手いとは思っていたが。その(成長の)スピードに自分もついていかなくてはと思う。だから必死です、毎日」

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