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最下位相手にポゼッション45%、マタ加入も低調な“質”。64億円の投資でマンU監督に求められる“変化”

シリーズ:フットボール母国の神髄 text by 森昌利 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Getty Images

マタは手応えを掴んでいたのか?

 このお祭り騒ぎを数式にすれば、(マタ+ファン・ペルシー&ルーニー)×スールシャール×2-0完勝といったところか。そんな雰囲気だった。

 まさに先週とは大違い。アウェイとはいえチェルシーに3-1で完敗。その3日後にはホームで、今季降格争いに巻き込まれているサンダーランドを振り切れず、PK戦にもつれ込んだ上、そこで2-1という超低レベルのスコアで負けて、惨めなリーグ杯準決勝敗退を喫していた。

 だからその暗かった先週の反動で、カーディフ戦が盛り上がったのは当然だろう。それほどでもなかったマタのプレーもそのムードの中で「素晴らしかった」ということになった。

 しかし、マタ本人はそう感じていなかったはずだ。ここで具体的にマタのインタビューを振り返ってみよう。

 デビュー戦の感想については、「信じられないほど素晴らしかった。超満員のスタンドの前で勝つことができて良かった。自分がどうプレーしたかというより、勝ち点3を奪ったことが最も重要だった」と話し、自分がどうチームに貢献したかということより、「勝ったことが大切」と締めくくった。

 そして質問が「デビュー戦にしてはすんなりチームに溶け込んでいたが?」というものになると、「僕はいつも全力を尽くすだけ。ゴール、アシストをいつも狙っている。もっと進歩することを楽しみにしている」と答え、この試合で見せたはずの「すんなりチームに溶け込んだプレー」に関しては語らず。というよりまるで質問に答えていない。

 あえて言えば「もっと進歩することを楽しみにしている」という部分が答えだろうか。つまりマタは、「あなたが言うほどすんなりチームに溶け込んではいなかった」と考えていたのではないか。少なくとも、まだまだこの程度では満足できないという気持ちが伝わってくるコメントだといえる。

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