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最下位相手にポゼッション45%、マタ加入も低調な“質”。64億円の投資でマンU監督に求められる“変化”

シリーズ:フットボール母国の神髄 text by 森昌利 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Getty Images

マタの孤立でチームが変わる可能性も

最下位相手にポゼッション45%、マタ加入も低調な“質”。64億円の投資でマンU監督に求められる“変化”
「もっとより良いパフォーマンスをしたい」とモイーズ監督は語る【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 それならいっそ、マタがボランチになり、香川とバルセロナのシャビとイニエスタのような縦の関係を築いてくれれば面白いのだが。

 ダブルボランチにフィジカルが強い、例えばフェライニ、キャリック、フレッチャーの誰かとマタを組ませる。ここから1.5列目の香川とルーニーを加えた連携が生まれれば、マンチェスター・ユナイテッドの硬直した攻めに変化が生まれるはずだ。

 しかし基本的に守備的で、フィジカルなサッカーを展開したがるモイーズ監督に、そうした発想はあるのだろうか?

「もっとより良いパフォーマンスをしたい」

 2-0完勝の直後の会見でモイーズ監督はそう語った。しかし、その鍵になるのは、中盤での高度な連携だろう。

 これまではつながないサッカーの中、孤立した香川だが、それは香川個人がどうマンチェスター・ユナイテッドのスタイルに対応するかという問題になっていた。

 ところが、64億円のマタが同じように孤立することで、一選手が無理にチームのスタイルに合わせるのではなく“チームがその創造性の高い選手を活かすため変化する”という意識も生まれる可能性があるのではないか。

 今後もチェルシーというビッグクラブで2季連続ベストプレイヤーに選ばれ、クラブ史上最高の移籍金額で獲得したスペイン代表MFがこのデビュー戦のようなプレーを続ければ、さすがのモイーズ監督も「連携ができない」というチームの欠陥に気がつくはずだ。

 ここをファーガソン監督は分かっていたはずだ。2011年の欧州CL決勝で感じたバルセロナとの決定的な差、それが「連携」だった。

 さらにいえば、香川真司の獲得は、そんなバルセロナとの差を縮め、欧州制覇の足がかりとするものだった。

 もちろん、そんな根本的な問題を一夜にして解決することはできない。しかし、連携プレーの見直しが、マンチェスター・ユナイテッドの“より良いパフォーマンス”に直結するはずだと、カーディフ戦のマタ、モイーズ会見を聞いて強く思った。

【了】

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