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アジア 10年前

近い将来日本にとって脅威になる可能性も。豪州サッカーの未来を担う若手選手たち

text by 植松久隆 photo by Getty Images , Frank Khamees , Taka Uematsu , Central Coast Mariners

小野との邂逅で一気に花開いたムーイの才能

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WSWのポスト小野と目されるムーイ、代表定着を期す【写真:Taka Uematsu】

 まずは、小野伸二が在籍するウエスタン・シドニー・ワンダラーズ(WSW)で10番を背負うアーロン・ムーイ(23)。既にー昨年の東アジア杯予選で代表デビューを果たしている技巧派のMFだ。

 WSWでは小野の後ろのダブルボランチの一角としてプレーするが、司令塔も難なくこなす。若くして英国に渡り、WSW入団前はスコットランド1部のセント・ミレンで試合にも出ていたムーイは、世代別の代表にもずっと選ばれていたようにその素質を高く評価されていた。

 そして、その才能がWSWでの小野との邂逅で一気に花開いた。今やWSWの中盤の欠かせないピースとなったムーイは、小野が抜けるWSWでは攻撃の中心を当然ながら担うことになる。

 小野を差し置いて蹴ることもあるフリーキックも大きな武器。将来性の高い彼には、早晩、良い条件のオファーが海外から届くことは間違いない。しかし、来季は、WSWの大黒柱として小野の穴を埋める活躍を見せ、それから再度の海外雄飛を考えても遅くは無いだろう。

 広島サポーターは、ACLで同組のセントラルコースト・マリナーズの中盤の選手のキレの良い動きに目を留めるかもしれない。もし、その選手が小柄で左サイドを主戦場にしているのであれば、その名は、ニコラス・フィッツジェラルド(22)。

 ここ数年の成長が著しいものの、A代表未招集のフィッツジェラルドだが、近い将来に、前所属のブリスベン時代に師弟関係にあったサッカルーズのアンジ・ポスタコグルー監督の構想に入ってくる可能性は高い。

 彼の持ち味は切れ味鋭いドリブルだが、ドリブラーにありがちな持ち過ぎ傾向は無く、時によってシンプルに捌くこともためらわない的確な判断力を持つ。シャイな性格が突き抜けるようなブレークを妨げているようなきらいもあるが、メンタルがさらに一つ強くなって、また一歩、選手としての完成度が高まった時こそ、彼の代表デビューが現実のものとなる。

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