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優勝候補ドイツに残る不安、試行錯誤の日々。解決策はペップ・バイエルンへの模倣か

W杯優勝候補の1つ、ドイツ。だが、不安要素はある。それがワントップだ。健在とはいえ、ベテランのクローゼが未だにスタメンに名を連ねている。レーブ監督はある変化を加えようとした。そしてそこに見えるのは現代最強チーム、ペップ・バイエルンの影響だ。

text by 本田千尋 photo by Getty Images

南米の曲者チリに苦戦

優勝候補ドイツに残る不安、試行錯誤の日々。解決策はペップ・バイエルンへの模倣か
クローゼはワントップで先発出場【写真:Getty Images】

 代表チームを率いる監督は、主に時間と選択の2つの点において、制約を設けられている。試合は年に数回しか行われず、付随してトレーニングを行う時間は必然的に限られてくる。そして国籍という縛りの中で、メンバーを選出しなくてはならない。それはドイツ代表監督のレーブも例外ではない。

 2014年3月5日、ドイツ代表はW杯イヤーにおける最初のテストマッチを、シュトゥットガルトで行う。来るべき6月の決戦を目前にして、南米予選を1位アルゼンチン、2位コロンビアに次いで3位で通過したチリを迎え撃った。

 先発陣は、GKがノイアー、ディフェンスラインが左SBヤンセン、左CBボアテング、右CBメルテザッカー、右SBグロスクロイツ、ダブルボランチにシュバインシュタイガー、ラーム、2列目にエジル、クロース、ゲッツェ、そしてワントップにクローゼ、である。

 南米の曲者チリ代表を相手に、ドイツ代表は1-0のスコアでかろうじて勝利を収めた。昨年8月に行われたパラグアイ戦を見ても、南米特有のクイックネスと統率を軸にサッカーを仕掛けてくる相手を、ドイツ代表は苦手としているようだ。

 チリ代表はFCバルセロナ所属の英雄サンチェスを中心として、スピードと人数を武器にドイツ代表のディフェンスエリアを陥れ続けた。その連動性に少しも淀みはない。サンチェスがボールを受けるやヴィダル、イスラが瞬時に追い越しトライアングルを形成、サイドアタックを仕掛けていく。

 ドイツ代表は大量失点を喫していてもなんら不思議ではなかった。過酷な南米予選を通して、スタイルを成熟させたのだろう。チリ代表は、既に完成されたチームだった。

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