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優勝候補ドイツに残る不安、試行錯誤の日々。解決策はペップ・バイエルンへの模倣か

text by 本田千尋 photo by Getty Images

台頭しないクローゼ以外の人材

 その一方でドイツ代表は、今もなおその方向性を含めて成熟へと向かう段階にあるようである。屋台骨のケディラやギュンドガンが怪我で長期離脱を強いられた、ということもあるだろうが、スタイルが熟し切れない理由の一つとして、ワントップの人材不足があるだろう。

 未だに2002年W杯得点ランク2位のクローゼが先発に名を連ねている。こう言ってしまうと本人に失礼かもしれないが、なかなか次代のCFが現れないのもまた事実だ。

 国外に目を向ければ、フィオレンティーナのゴメスの名前が目に止まるぐらいで、国内に目を向けると、バイエルン、ドルトムント、シャルケのCFは外国籍の選手が先発に名を連ねている。レバークーゼンのCF、キースリンクは国内では力を発揮するが、CLのPSG戦を見ても、やや内弁慶なところがある。

 ボルシアMGのクルーゼは、純粋なCFタイプの選手ではない。今回ハンブルガーSV所属22歳のFWラソッガが招集されたが、降格争いを演じているチームのFWをドイツ代表のCFの軸に据えるのは、無理があるだろう。

 1試合だけの戦いで考えればクローゼでも十分ではあるが、高温多湿というブラジルの気候の中でW杯というビッグトーナメントの頂点を目指すことを考えると、さすがにクローゼ1人で乗り切るのは難しい。

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