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連載コラム 10年前

元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第9回 監督、営業、広報活動…恐ろしいほど広がる仕事の幅

シリーズ:元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 text by 西村卓朗 photo by VONDS市原

7月28日 On the pitch 関東リーグ2部第14節 対大成シティ坂戸戦(ホーム)

 敗戦後の試合だったが、じっくり落ち着いてゲームが運べれば、大きな心配はないと思っていた。

元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第9回 監督、営業、広報活動…恐ろしいほど広がる仕事の幅
【写真:©VONDS市原】

 ただこれは今シーズンのVONDSの傾向だが、相手が自分達より順位が下の相手には早く勝負を決めたがる様子が強く伺えた。それはどのようなところに現れるかといえば、チャンスを逃したあとに必要以上にピッチ上の選手が落胆するということ。

 簡単な相手などひとつもないと思っていれば、必要以上にひとつのプレーの結果に対して気持ちの浮き沈みが少なくなるはず。

 淡々と、冷静に、激しく戦えている時は良いが、プレーの結果に選手が一喜一憂しているようではまだまだである。ハーフタイムには戦術的なことには触れずそのことについてだけ話すことにした。

 37分に竹谷の得点で先制。後半13分に渡邉の追加点。ここまではよかったが、その後チームの気が緩んでしまう。パスを出したあとに動かない選手が増え、ボールが回らなくなってしまう。悪い流れの時には当然相手にチャンスが訪れる。

 85分に失点。その直後にも軽率なプレーからGKとの1対1を作られる。ここは早川が防ぎ、最終的にはロスタイムに荒井がゴールを奪いスコアーは3-1になっていたが、自分は後半の残り30分のプレーが許せなかった。

 翌日何人かの選手を呼び出し、振り返ってみればだが、今シーズンの中で一番の雷を落とすこととなった。

 サッカーは結果論のスポーツであると思っているため、その結果に対してはあまりしつこく追及しない。それよりもその過程で、そのプレーにどれくらいの意図があったのか? どんな考えがあったのか? 一番嫌なのは「なんとくなく」のプレーだ。それでは、良かったことも、悪かったことも、その結果からは何も捉えることができない。

 だからどんなプレーにも意図を持ってほしい。いつもこだわって練習している課題に関してはなおさらである。それをしなかったことと、それによってチームを窮地に追い込んだ責任は重い。もちろん特定の選手だけのせいではないが、日頃から多くのことを話し合い、上を目指したいと言う選手達だったので、厳しく対応した。

 もしこの試合が同点で終わっていたら、その後のリーグ昇格はなかったのではないかと今でも思っている。

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