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連載コラム 10年前

元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第9回 監督、営業、広報活動…恐ろしいほど広がる仕事の幅

シリーズ:元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 text by 西村卓朗 photo by VONDS市原

7月~8月 Club Management

 7月、8月は地域への営業活動も本格化し、21時の練習後にも、スーツに着替え、出かけなおすことが増えていった。

 大きなサッカークラブでは各部署で仕事は細分化されているが、まだまだ小さなVONDSではそうはいかない。地域住民、スポンサー企業への営業。ホームゲームイベントの企画、運営。メディアや、地域コミュニティーへの広報活動。グランド、クラブハウス施設整備の打ち合わせ。6月に行けなかったベトナムチームとのコネクション作りのチーム強化活動。

 事務作業などはあまりすることはなかったが、いつの間にか自分の業務内容は恐ろしいくらいに広がっていた。少し油断しているとどこかが疎かになり、そこに関わって頂いている、相手側に迷惑になる。

 自分が抱えている仕事の進行状況の確認、部下に任せている作業の把握、そこには神経を使った。

 この時期大変だったのは8月の半ばに予定していた、ベトナムの現地に出向き、先方チームとコネクションを作ることだった。アメリカの時に経験済みだが、メールのやりとりにはものすごく時間がかかる。

 また日本人のOKは本当のOKだが、海外でのOKは簡単には信用できない。確認に確認を重ね日時を決めて出発の6日前にチケットを予約した。出発は8月14日。ベトナムについては次回に詳しくお伝えできればと思う。

 それ以外で非常に難しかったのは広報活動である。PR戦略で大事なのはまずはリサーチだが、PR方法の選定はそもそもこの地域の情報を正確にそろえることがこの時期はまだまだできていなかったので、まさに手探り状態。4月から始めたダンススクール、6月から始めたサッカースクールの生徒へのPRは難航が続いている。

 まずは知ってもらうことが重要であると思うが、当然PRにはお金がかかる。その費用対効果を事前に想定することは、この地域に来て間もない自分にとって、またこの分野を初めてする自分にとっては、今シーズンの中で最も難しい作業の一つだったように思う。

 この分野の人に相談はいろいろしたものの、その方法はその地域の特色、またどんなつながりを持っているかによっても違うので、これといった答えは当然出てこない。であれば、やってみるしかないというのが、最終的な状況だった。

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