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電通が次に仕掛けるアジア戦略。日本サッカー底上げのカギ握る、アジアのスポーツビジネスに迫る

text by 長沢正博 photo by Masahiro Ngasawa , Kazhito Yamada / Kaz Photography

アジアとスポーツ、この2つは絶対になくならない

――「電通スポーツヨーロッパ」、「電通スポーツアメリカ」がある中、なぜ、そのタイミングだったのでしょうか?

「ヨーロッパには国際サッカー連盟(FIFA)、国際水泳連盟(FINA)といった競技団体の連盟本部があります。それら国際機関と交渉する組織が必要だということで、電通スポーツヨーロッパが2007年に作られました。

 その後、メージャーリーグベースボール(MLB)の放送権も含めアメリカでの拠点の必要性から、2009年に電通スポーツアメリカが設立されました。

 これまでアジアを手掛けていなかったのは、アジアは中東から中国まで幅広く、文化も人種も宗教も違う。どこに軸足を置いてビジネスをしていったらいいのか、わからなかったからです。

 アジアのスポーツ、しかもサッカーならWSGに出資をしているので、あえてやる必要はない。そういう議論もあった中で、私がシンガポールに駐在した3年間で、アジアのポテンシャルを強く感じたんです。

 こうすればもっとビジネスが広がるというアイデアもあった。具体的にプランニングをして、上司に提案をし、正式に会社に認められて2010年の9月に会社を作りました。

 スポーツとアジア、この2つのキーワードは絶対になくならないと考えています。アジアは中国が下がれば、アセアンが伸びるといったように、どこか景気が悪ければ、どこかが伸びる。

 スポーツも景気が良い時は、企業がスポンサーシップへの投資を増やしますし、景気が悪い時はスポーツを通して元気を与える、国を一つにまとめるということもある」

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