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アジア 10年前

【豪州番記者が追う】デルピエロは本当に日本に来るのか? 移籍報道の裏側と年俸3億6000万円の価値

text by 植松久隆 photo by Getty Images , cNichigo Press

チームは不調も明らかだった“デルピエロ効果”

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チームは不調だが明らかだったデルピエロ獲得の効果【写真:cNichigo Press】

 昨季のデルピエロは、全27試合中24試合に出場14得点という個人としては素晴らしい成績を上げた。それでも、チームはレギュラー・シーズン7位と低迷、上位6チームで競うファイナル・ラウンドに進むことはできなかった。

 Aリーグで、10チーム6チームが争うファイナル圏内に入るのは、各クラブの最低限の達成目標とされ、それが叶わなかったシーズンは明確に「失敗」と評価される。デルピエロというレジェンドを擁しながら6位以内という決して高くないハードルを越えられなかったことは、デルピエロ獲得に大枚をはたいた経営陣にとっては大きな失望であったことは想像に難くない。

 しかし、シドニーFCはデルピエロの再契約を決めた。経営陣にとって、デルピエロの1年目からの素晴らしい成績以上にインパクトがあったのは、年間の主催試合平均観客数という数値にはっきり表れた“デルピエロ効果”。

 デルピエロ加入前の11/12シーズンでは一試合平均11,861人とAリーグ屈指のビッグ・クラブにしては寂しかった平均観客数が、12/13シーズンは18,637人に跳ね上がった。

 初年度から全体の9割の試合に出場、クラブ歴代シーズン最多となる14ゴールを挙げるという素晴らしい成績に加え、目に見えた観客増員への貢献もあって、デルピエロとの契約は充分投資に見合うと判断されたことで、再契約のオファーが決まったと考えるのが一番自然だ。

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